オセロ盤を簡単に記憶する記憶術 vs 将棋盤を正確に再現する脳内将棋盤 | 賢脳トピックス

現在、羽生竜王が100期を目指して対局中ということで、今回は将棋と記憶ということで話をしていきたいと思います。
少し前にテレビで、記憶術のセミナーをしている講師の方がオセロ盤を1分間見ただけで完璧に記憶し、間違いなく再現してみせていました。

誰でもオセロ盤を1分で完璧に覚える記憶術の種明かし

一見すると、すごい! 神業と思えるかもしれませんが、こうして手品みたいな芸当には、種明かしがあります。

例えば、オセロ盤は8×8なので、オセロ盤を見たときに白でも黒でも、直感的に少ないと思ったほうの色を覚えてしまえばいいのです。
一段目には、1番目と2番目と4番目と5番目と7番目に白があったな
二段目には、3番目と5番目と6番目に白があったな
三段目には、2番目と8番目に白があったな
という具合です。

そうすると例えばこんな風になります。
一段目 12347
二段目 356
三段目 28
四段目 15678
五段目 36
六段目 268
七段目 1368
八段目 267

この数字を覚えれば、数字が該当するところが白、それ以外は黒になります。
だいたい3~5桁の数字を8個覚えればいいだけなので、ちょっとした記憶術でも使えば、誰でも1分もあれば覚えることができるのです。

たとえば、サイボーグ009のサイボーグたちに登場してもらって、一段目は001に、二段目は002に担当してもらいます。

001が、1234とカウントして最後に7(セブン)といってウルトラマンの真似をする。
002が、紅葉の山の絵を書きながら、今が356(見ごろ)と言っている。
003の顔がアップで映り、009(ジョー)と何かいいことがあったのか、28(ニヤ)ついている。

とやっていけばいいのです。
オセロ盤を覚えるのが簡単なのは、8×8のマスがありますが、白と黒の二種類しかないことです。

プロ棋士の脳内将棋盤は記憶術ではないイメージ

それでは、9×9マスの将棋盤を記憶しようとしたらどうなるでしょうか。
もちろん、プロの記憶術講師は、記憶しやすい記憶法を見出して覚えてしまうかもしれません。
しかし、将棋盤の場合はオセロのようには簡単にいきません。
なぜならば、王将・飛車・角行・金将・銀将・桂馬・香車・歩兵と駒の種類だけでも8種類、しかも成っているかいないかもあり、また盤上にはなく手持ちとなっている駒もあるからです。
しかも、すべてのマスが埋まっているわけではなく、何も駒が置かれていないマスもあり、非常に複雑です。

これに記憶術を使って覚えるとなると、結構な工夫が必要になってくると思われます。

でも、多くのプロ棋士は、脳内将棋盤といって、将棋盤が頭の中に入っていると言われています。
だからこそ、対局が終わった感想戦でも、今まで自分たちが差してきた何十何百手もの手順を間違えることなく再現したり、いろいろな対局の棋譜を覚えていたりします。
また、目隠しをされて、▲3三歩成などと棋譜を読み上げてもらっただけでも将棋盤をきちんと再現することができます。

こうした棋士たちは、将棋盤を記憶術を使って記憶しているのかというと、そうではありません。
そんなことをしていたら刻々と手を進めることで変わっていく局面には対応できません。

ではどうなっているのかというと、本当に頭の中に将棋盤がイメージされていて、イメージ力がある棋士になるとそれがカラーででてきているらしいのです。

どうしたらプロ棋士みたいに脳内将棋盤を作ることができるのか

そんな目に映ったものを映像として記憶する直観像記憶(アイコニックメモリ)はどうしたらできるのかというと、やはり日頃の訓練の賜物なのでしょう。

多くのプロ棋士たちは、詰め将棋などを勉強していきますが、そのときに盤上に駒を並べてやるのではなく、盤面を記憶して、本やパソコンの画面を見ずに頭の中だけで解くようにするそうです。

棋譜だけを見て、頭の中で盤面の進行状況を考えていき、いろいろと自分なりにその局面を分析していく練習を繰り返しているうちに、イメージできる範囲も広くなり、イメージも鮮明になっていくのだそうです。

このような訓練をしていると、まったく目で盤面を見ずに局面を考えていかなければならないという必然性がでてくるために、脳内将棋盤がものすごいスピードで形成されていくのだそうです。

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