よく死ぬときはピンピンコロリといけばいいねという話を聞きます。
確かに、何年も持病で苦しんだり、介護を受けたりするよりも、死ぬ直前まで元気に生きていて、スーッと安らかに死にたいという思いからきているのかもしれません。
あるいは、人生死ぬ直前まで、精力的に活動していたいという思いがあるのかもしれません。
そのために、食事に気をつけて、運動もして、健康を維持していこうという動きが、年配の方を中心に広がってきています。
しかし、その裏には、経済的な問題も隠されているのです。
平均寿命と健康寿命の差
日本は世界の中でみても有数の長寿大国で、日本人の平均寿命をみると男性でも81歳、女性では87歳となっています。
しかし、健康寿命ということを考えると、男性は72歳、女性は74歳になっています。
健康寿命とは、WHO(世界保健機関)が提唱したもので、平均寿命から疾病や衰弱、認知症などで要支援や要介護が必要となったいわゆる健康でない状態の期間を差し引いたものです。
つまり、平均寿命から健康寿命を引いたものが健康でない状態の期間となり、男性では9年、女性では12年となっています。
どうなる介護保険制度
日本では、介護保険制度が始まっていますが、1割負担のままではその維持も困難といわれていて、負担増となっていくでしょう。
高齢化社会となり高齢者も増えるなか、現在、特別養護老人ホームの数は、全国で約1万になってきていますが、それでも入居は数年待ちになります。
それならばと、民間のサ高住(サービス付高齢者向け住宅)や有料老人ホームをと考えると費用が高額になってしまいます。
介護職員が高齢者を殺害してしまうというような痛ましい事件も起こっています。
介護施設入所の現状
都市部でこれらの施設に入ろうとすると、リーズナブルな施設でさえ、通常月に30万円台になってしまうため、月20万も年金をもらえない年金暮らしの高齢者夫婦で、一方が要介護になってしまった場合、リーズナブルな介護施設すら入れないというのが現実問題になっているのです。
そこで出てくるのが、無届介護施設ということになりますが、大部屋に布団を敷いて雑魚寝であったり、防火設備もないといった環境になってしまうのです。
ピンピンコロリがいいねというのは、もちろん苦しんで死にたくない、死ぬ直前まで現役でいたいという思いもある一方で、もしかしたら、そうでもなければ経済的にやっていけないでしょという隠れた本年があるのかもしれません。
しかも介護業界は慢性的な人手不足になっています。よく言われるのが仕事の内容に比べて給与が安いという点で、離職率も高くなっています。厚生労働省は、2025年度には、240万人の介護職員が必要と試算していますが、見通しが暗いのが現状なのです。