体の調子が悪くなると、薬を飲んだりします。
薬と薬の相互作用ということは良く言われていて、配合禁忌になっていたりします。
私たちが普段口にしている飲食物も、薬と服用するとその相互作用によって体にとって有害な作用がでてきたりすることがあります。
飲食物が治療に有効な薬を有害化してしまうことがある
食品と医薬品の相互作用で有名で、気をつけなければいけないのが、グレープフルーツジュースです。
グレープフルーツの中に含まれるフラノクマリン類と呼ばれる成分が、小腸の薬物代謝酵素であるCYP3A4の作用を不可逆的に阻害してしまいます。
すると、服用した薬物の代謝が阻害されてしまうので、代謝されずに薬物が全身をめぐる血液の中に移行して、その結果、薬物の血中濃度があがってしまいます。
このグレープフルーツの影響は、薬物によっては数日間持続することもあるので注意が必要です。
つまり、小腸の薬物代謝酵素であるCYP3A4によって代謝される薬物を服用しているときは、グレープフルーツジュースは要注意な飲食物になります。
CYP3A4を薬物代謝酵素としている薬は多く、特にHMG-CoA還元酵素阻害薬のシンバスタチン(リポバス)やアトルバスタチン(リビトール)は、血中濃度の上昇が強いので注意が必要です。
この影響を受ける度合いは、薬によって違ってきます。
特に、飲食物の中でグレープフルーツジュースは、薬の血中濃度を上げてしまい、それで薬の作用が強くあらわれすぎでそれが有害反応につながってしまうこともあるので注意が必要です。
注意しなければいけない薬として、高血圧の人が血圧を下げる薬でカルシウム拮抗薬と呼ばれるもの、コレステロールが高い人に処方されるスタチン系と呼ばれる薬などがあります。
グレープフルーツジュースに関して注意しなければいけない薬を処方されたときは、薬剤師から服薬指導があると思いますので、注意を守るようにしてください。
さらに、はっさく、スウィーティー、ぶんたんといった柑橘類も、グレープフルーツ同様なので注意が必要です。
薬が飲食物を有害化してしまうことがある
グレープフルーツジュースの場合は、飲食物が薬の血中濃度を上げてしまうために、有害反応がでてしまうという例でしたが、それとは逆に、服用した薬が、飲食物を有害化してしまう場合があるのです。
その代表例が、珈琲などに含まれているカフェインです。
カフェインは、CYP1A2という薬物代謝酵素によって代謝されますが、この酵素を阻害する働きを持っている抗ヒスタミンH2受容体薬のシメチジンや、ニューキノロン系抗菌薬のエノキサシン、抗体うつ秒薬のフルボキサミンなどの薬を服用すると、カフェインの代謝を阻害してしまいます。
つまり、これらの薬を服用しているときに、カフェインを含む珈琲などを飲んでいると、カフェインの代謝が阻害され、血中のカフェイン量が増え、不眠や不安、頭痛などが強く出てくる場合があるのです。
マグロも注意?
刺身にするとおいしいマグロですが、マグロの刺身は、少し古くなってくると、細菌(Proteus morganii)によってヒスチジンからヒスタミンが作られてしまいます。
この時、抗結核薬のイソニアジド(イスコチン)を服用していると、これがヒスタミンの代謝分解を阻害する働きがあるので、ヒスタミン中毒を起こす可能性があります。
ヒスタミン中毒になると、頭痛がしたり、発疹や蕁麻疹が出たり、悪心・嘔吐や発汗、動悸、全身検体などの症状がでてきます。
イソニアジド(イスコチン)を服用しているときは、マグロの刺身などは控えたほうが良いでしょう。