意外といいかげんな選択盲 | 薬剤師トピックス

選択盲(チョイスブラインドネス:Choice Blindness)とは、人が自分が好きな物を選んでいるんだと自分に思い込ませているという現象のことです。

人間の選択は意外にも曖昧

今の職場や恋人をなぜ選んだのかの理由について説明できるでしょうか?

まあ、いろいろな説明ができると思いますが、最終的には、「自分が選んだんだから」という究極の答えに行きつくのではないでしょうか?

しかし、それ、本当に自分自身が選んだのでしょうか?

この面白い課題について、スウェーデンのペター・ヨハンソン博士らルンド大学の研究者たちが面白い実験を行っています。

男性の女性に対する曖昧さ

この実験では、男性の被験者たちに2人の女性の顔写真を見せて、どちらが魅力的かを指差してもらいます。その後、一度両方の写真を伏せて、選ばれたほうの写真を渡して選択の理由を尋ねます。

これを何度かやっていくのですが、ときどきマジックの技などでこっそり写真をすり替えて、実際には選択しなかった方の写真を被験者の男性たちに見せたのです。

すると、なんと8割近くの男性が、写真のすり替えに気づかなかったのです。

つまり、自分で「こちらのほうが好み」と選んだ顔なのに、人はそれを覚えているとは限らないということが判明したのです。

そして、研究者が、「なぜ、そちらの写真を選んだのか」ということを聞くと、被験者の多くが、すり替えられた写真を見ながら、この女性のほうが表情が優しそうだからとか、目が綺麗だからなどと好きな理由を当然のように答えたというのです。

いかに、人間の記憶というか、人間の選択というのもあてにならないものなのかということを思い知らされるような実験です。

ある意味、マーケティングなんていい加減

つまり、自分が選んだのだから、好きなところがあるに違いないということで、そうだ、ここが気に入ったからこっちを選んだんだと後づけでその理由を見つけてしまうのです。

世の中には、AIDAモデルのように、知ってもらって(Attention)、興味・関心を引き(Interest)、欲しいという欲求を持ってもらって(Desire)、アクション(Action)をしてもらうということで、説得を目指したマーケティング手法がたくさんありますが、選択盲ということからもわかるように、人間はものを選ぶときに、そんなに論理的に選んでいないことが多く、その時の感覚や感情などによって選んでいます。

しかも、それも曖昧なものです。

消費者は、マーケティングの専門家が考えているほど、ロジカルに考えてアクションをしていないし、それをロジカルに論理的に考えようとすると、かえって間違ったマーケティング手法の呪縛の罠にはまってしまうのかもしれません。

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