災害時の心理的反応と対応 | 薬剤師トピックス

災害時においては、いろいろな支援が必要になってきますが、被災すると大きな心理的負担がかかります。

その大きな心理的負担は、異常な出来事に対する正常な反応なのですが、これらの心理的負担に対して、支援による心のケアが必要になってきます。

災害時の心理的反応

災害に合い被災すると、心的トラウマ悲嘆・喪失・罪責・怒りなどの心理的反応や、社会・生活ストレスが現れてきます。

『心的トラウマ』は、被災し直接災害の被害あった場合、あるいは災害を目撃した場合などに、そのトラウマ体験の記憶が心に割り込んできたりします。

こうしたトラウマにより、意欲の喪失状態になったり、抑うつになったり、不安・不眠・食欲低下などが起こり、また不注意による事故等も起こりやすくなったりします。

また、被災により、いろいろなものを失った喪失感、悲嘆が起こり、現実的な判断や妥当な判断力が低下してしまったりします。

また、うまく対応できなかった、もっとああしておけばよかったといったような罪責感を感じたりして、自分を責めたりしてしまうことがあり、またそれにより、その感情が周囲への憤りや怒りへとつながることもあります。

避難所に避難したようなケースだと、新しい生活環境がストレスになり、それにより心身の不調や不定愁訴を訴えたり、不眠やイライラといった症状がでてきたりします。

長期にわたる避難所生活においては、プライバシーの確保、生活環境の整備、感染症対策などが課題になってきます。

災害から1カ月間

災害直後数日間では、災害の被害原因や状況・規模、援助などの内容がわからないので、まずは現実的不安が先にきます。

今後の見通しが不透明なのはもちろん、食料等の不足やライフラインの分断なども大きく影響してきます。

災害直後は、我慢して耐えていることも多く、そのためか他人にわかるような症状を示すことは少ない時期になります。

したがって、災害直後は、その後の心理的反応を予防するためにも、現実的な不安をできるだけ解消していくことが重要です。

具体的にどんな被害状況で、何を必要としているのかを確認するなど、細かなケアが必要になってきます。

人によっては、強い負担から落ち着きがなくなって、じっとしていられず、また話し方や行動にまとまりがなくなったり、興奮して起こったり、急に泣くなど感情的に不安定になったりもし、体にも動悸・息切れ・発汗といった症状が現れてくることもあります。

また予期しなかったことが起きたショックから、一見すると思考や感情が停止したかのようになる人もいます。

こうした人は、会話や行動が減り、質問しても答えなかったりします。

また目の前のことが手につかなかったり、現実感がうしなわれたりします。

災害から1カ月以上

災害から1カ月以上たつと、少しずつ平常を取り戻していきますが、心理的負荷が大きいと、回復が遅れて、症状が慢性化してPTSD(心的外傷後ストレス障害)など心理的不調が長引いたりします。

こうした時期は、専門的な支援が必要になってきます。

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