速く覚える、長く忘れない、効率的な勉強法

速く覚える、長く忘れない、効率的な勉強法

効率的な勉強法は、最終的には自分にあったものということになりますが、速く覚える、長く忘れないという視点で、効果的な学習法・勉強法について200以上の研究から脳科学者・心理学者たちが評価をした論文がでています。

速く覚える、長く忘れない、そのための効率的な学習法・勉強法

『速く覚える、長く忘れない、そのための効率的な学習法・勉強法』ということで、多くの研究がされていますが、よく行われている学習法・勉強法について、それらを系統的に分類して、どのようなことをすると効率が良いのか、まだ効率がよくない勉強法はどんな方法なのかということについて、200以上の研究から脳科学者・心理学者たちが評価内容をまとめた論文が発表されています。

Improving Students9 Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology
(効果的な学習テクニックで生徒の学習を改善: 認知心理学と教育心理学からの有望な方向性)
Psychological Science in the Public Interest 14⑴ 4-58, 2013

よく行われてる勉強法・学習法の評価

論文では、一般的によく行われている勉強法・学習法を10個あげて、その評価が行われています。

学習法 具体的内容
熟考 学んだ内容で疑問に感じたことを突き詰めて考える
自己説明 重要なポイントを自分自身に向かって説明
まとめ 重要なポイントをまとめてノートに書きだす
線引き・ハイライト テキストの重要な箇所に線・ハイライトを引く
キーワード 英単語など語呂合わせやキーワードを使って記憶
イメージ・画像利用 学んだことを頭の中で画像のように鮮明にイメージ
読み直し テキストやノートを繰り返し読み返す
テスト 学んだことを理解できているかテスト
混ぜ合わせ(分散学習) 違う科目やジャンルを交互に勉強
インターバル 一度学んだことを時間を空けて勉強し直す

評価結果

200以上の研究から脳科学者・心理学者たちが評価

最も効果的 テスト/インターバル
しばしば効果的 熟考/自己説明/混ぜ合わせ
要注意・それだけでは効果が出にくい まとめ/線引き/キーワード/イメージ/読み直し

 

テストについては、ふるいにかけたり能力を判断するために行われるというものではなく、正誤を確認をするというより、むしろ自分の頭だけで思い出す、いわゆる想起の訓練をすることが学習効果を高めるのに非常に有効になってきます。

 

熟考自己説明となると、能力がある人はいいのですが、誰でもできるというものではないので、ある学習者にとっては効果的ですが、すべての学習者にとって効果的とはいえず、一般的な学習法としては、しばしば効果的という結論になっています。

 

混ぜ合わせにおいては、全然違うものを学習するより、似ているものを学習するほうが効果的と言われています。

 

線引き・ハイライトについては、それだけだとあまり効果は示されていない
線引きやハイライトによって、復習するときに重要なポイントを見つけやすいのではと考えられますが、復習効果はあまりなく、むしろ復習時に重要な部分を再び探すことによって効果がでてくるもので、線引きやハイライトによる復習効果は他の方法に比べてあまり効果がないという結論になっているので、線引き・ハイライトだけだとあまり学習効果が期待できません。

 

まとめによる学習法については、まとめが得意な人、まとめ方が上手い人にとっては有効な学習法ですが、みんながみんなまとめが上手かったりするものではなく、一部のグループではプラスの効果をもたらしたが、他のグループでは効果がなかったという結果になっていて、学習者によって効果が出やすかったり出にくかったりすることから要注意という結論になっています。

 

読み直しについては、1度読んですぐに読み直しているような場合は、2回目以降はほとんど効果がないので、インターバルを取るといった方法などが良いでしょう。

 

また、線引きやハイライトは引いた段階で満足してしまったり、まとめにしてもまとめた段階で達成感がでて勉強をした気になってしまったり、読み直しにしても何回も読んだだからとそれだけでやった気になってしまうというところも要注意な点になります。

 

イメージについては、見たものを映像として一瞬で記憶する能力、つまり「フォトグラフィック・メモリー」は、人間に関しては特殊な能力で、本当にそのようなものがあるのかどうかも含めて研究が進められている段階です。
また、抽象的な学習内容についてはなかなかイメージがしづらいというところもあり、学習者や学習する内容によって、有効性が限定されてしまう可能性があります。

記憶力が1.5~2倍あがる方法とは

多くの研究で効果があるとされ、記憶力が1.5~2倍にもなるといわれている方法があります。

 

それが、『リトリーバル』です、
『リトリーバル』は、自分の頭だけを使って学習した内容を思い出すことで、具体的なやり方としては、テキストを読んだ後、適当なところでテキストを閉じて、目をつぶって何が書いてあったか内容を思い出すと良いのです。
テキストを読みながら、短い時間で止めて、思い出す訓練をするのが効果的です。
動画での学習などでは、例えば、Youtubeを5分見た後に、一旦止めて、それまでのポイントを3つ思い出すというような訓練をするとリトリーバルの訓練になって効果的です。

 

さらに、『ブレインダンプ』といって、学んだことを脳の中から一気に思い起こして言葉にして出す方法も有効で、どんな内容だったかを実際に言葉にしてみると、忘れにくくなります。