一夜漬けと分散学習

一夜漬けと分散学習

受験勉強や資格試験を受けるという人、また普段からいろいろと勉強が好きでいろいろなことを勉強しているという人、さらには記憶力を高めたいと思っている人、そんな人に向け、一夜漬けと分散学習についてまとめています。

早く覚える一夜漬

私達は、いろいろなものを覚えなければなりません。
受験生であれば、外国語の単語、科学用語、概念、公式、歴史年表など、資格試験を受けるのであれば、専門用語はもちろん、その専門分野に対する必要不可欠な知識をどんどんと覚えていかなければなりません。


遊んでいて、テストの前日慌てて『一夜漬け』で詰め込み勉強をしたという人もいると思います。
特にまだ若いときは、記憶力にまかせて、瞬発力で徹夜して、その間にとにかく短時間に多くのことを早く覚えるみたいなことをしたという人もいるでしょう。


『一夜漬け』は、昔から身にならないよくない勉強法みたいなことを言われていますが、たしかに、スピード、即効性はあり、テストのときに一夜漬けで勉強すれば、翌日のテストの点は向上します。


その場しのぎでテストの点をアップさせるという点においては、効果はあります。


しかし、これは荷物を整理もせずに、いきなり安物のスーツケースの中に無理やり詰め込みすぎているようなもので、入ることは入るけど、しばらくすると口が開いて、スーツケースが壊れてしまい中身が落ちてしまうようなものです。


毎回毎回、『一夜漬け』で勉強していると、それが習慣になり、新しい学習内容が始まるころには、前に学習で覚えたことを何一つ思い出せず、きれいさっぱり忘れてしまっていて、成績がガタ落ちしてしまったりします。


ツケ刃で一夜漬けで一気に詰め込む勉強しかしていないと、とりあえずテストの時はしのげても、すぐに忘れてしまうのです。


テストの前まで勉強しておらず、テストの前日に慌てて一夜漬けをするくらいですから、当然テストが終わってから復習をするなんていうこともないでしょうから、せっかく一度は覚えたのに、全て忘れてしまうのです。


『一夜漬け』による勉強は、範囲が限られた小テストみたいなものは一夜漬けが効果を発揮しますが、期末テストみたいにテストの範囲が限られたものではなく、今まで学習してきた内容、積み重ねの知識が問われるような感じで範囲が広くなってくると、蓄積がなく忘れてしまっているのでとたんに成績がガタ落ちしてしまうのです。


「分散学習法(Spaced Repetition)」は、科学的に効果が証明されている学習法で、勉強を一度に詰め込むのではなく、一定の間隔を空けて繰り返す学習法になります。


たとえば、英単語を100個覚える場合に1日でまとめてやるのではなく、1週間かけて毎日少しずつ繰り返すイメージです。


一気に集中して勉強するのと、時間を分散するのでは、覚える量は同じでも、脳にとどまる時間がずっと長くなることが証明されていて、今日少し勉強し、明日また少し勉強したほうが、一度に全部するよりはるかにいいことがわかっていますし、場合によっては、後から思い出す量が2倍になることもあるといわれています。
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参考:早く覚えて長く忘れない分散学習・反復のタイミング

長く忘れない分散学習



分散学習法は、一夜漬けのような即効性はありませんが、長期的に見れば最も効率の良い勉強法の一つです。特に、受験や資格試験のような「大量の知識を長期にわたって定着させる」必要がある場合に非常に有効になってきます。


記憶力に関連した学者といえば、この人を無しでは語れないというくらい有名な人がいます。


「人は一度覚えたことを急速に忘れてしまう傾向がありますが、適切なタイミングで復習を行うと、記憶の定着率が飛躍的に高まる」ということで、あの有名な『エビングハウスの忘却曲線』で知られているエビングハウスは、12の音節をスラスラ書けるようになるために、一度に詰め込む反復を試みた結果、1日に68回反復練習し、その翌日のもう7回練習することでできるようになりました。


しかし、3日かけて分散学習をした結果、38回で記憶定着ができ、ある程度繰り返し練習する場合は、一度にまとめて練習するよりも、練習時間を適切に分散したほうが明らかに効率が良いという結果が出ています。


"The Spacing Effect: A Case Study in the Failure to Apply the Results of Psychological Research" American Psychologit. Vol43, No.8, Aug. 1988, 627-34.

分散学習法が効果的な理由とは?

『分散学習』がなぜ効果的なのかには大きくわけて3つの理由があります。


1.記憶の強化
時間を空けて復習するという『分散学習』をすることによって、脳はその情報を「重要なもの」と判断し、長期記憶として保存しやすくなります。


一方、『一夜漬け』の詰め込み学習では記憶が短期的なものにとどまりやすくなるため、早く覚えても長く忘れないというわけにはいかず、試験までに忘れてしまうことが多いのです。


2、忘却への抵抗
もともと人間は忘れる動物なのですが、忘れる前に復習を重ねることでそれが「忘れにくい知識」になっていきます。
『分散学習』では「忘れそうなタイミング」を狙って復習することで、効率よく記憶を強化することができます。


3.学習疲労の軽減
『一夜漬け』など長時間の詰め込み勉強は、集中力の低下や疲労感を引き起こすということに関しては想像に難くありません。
一方『分散学習』では1回あたりの勉強時間が短くなるため、より高い集中力を維持したまま学習することができるのです。

実際の分散学習法のやり方

『分散学習法』を取り入れるためには、少し工夫が必要になってきます。
まずは、復習のタイミングの計画を立てることですが、分散学習で一番難しいのが、反復・復習するタイミング、つまり最適インターバルで、これは学習内容や学習者の背景によって最適な間隔が異なってくるため、何回か試してみて、実践的に最適なタイミングを見つけていく調整が必要となってきます。


無計画に復習しても効果は薄れます。カレンダーやアプリで復習予定を管理してみても良いでしょう。


まずは英単語、公式、重要なキーワードなど、記憶に残したい部分を絞って分散学習をしてみることがオススメです。
最初のうちは実感がわかないかもしれませんが、続けることで確実に成果が出てくるようになってきます。


たとえば、新しく学んだ内容をこんな感じでスケジュールを立て復習してみると良いでしょう。


1回目:その日のうちに復習(初回学習)
2回目:翌日
3回目:3日後
4回目:1週間後
5回目:2週間後


このように、間隔を徐々に広げていく「間隔反復(Spaced Repetition)」がポイントになってきます。


最近では、『分散学習法』に適した専用アプリなどもあるので、活用してみる手もあります。
分散学習』の管理には、AnkiQuizletといったフラッシュカードアプリがオススメで、これらは復習のタイミングを自動で調整してくれ、勉強の習慣化にも役立ちます。


また、勉強時間も1日1時間まとめて勉強するよりも、20分×3回というように勉強時間の小分けをして勉強するほうが、記憶の定着が良くなります。


『分散学習』は、通学・通勤時間やスキマ時間を活用してもできるため、時間を有効に使っていけます。


新しく挑戦する分野、そして難しい専門用語がたくさん出てくるようなものを学習するとき、とにかく早く覚えると焦ると、とりあえず暗記はしていたものの、用語や理念・概念は馴染みがないものばかりなので、どのようなカテゴリーに分類したらよいものかもわかなかったりするので、頭に入りづらいですし、全体像もつかみにくいのが現状です。


新しい分野、初めての専門用語とかたくさんでてきている場合は、1時間勉強して翌日に復習というよりも、20分なら20分、覚えるというのではなく、ざっと読むというような形、わかりやすくいうと初対面の人に軽く挨拶しておく程度で、それを2回、3回と繰り返していけば良いでしょう。