嗅覚は、動物が生き延びていくために非常に大切な感覚で、仲間を判別し、敵から身を守り、エサを探すという点で、非常に重要になっています。
人間においても、例えばガス臭いにおいとか、コゲ臭いにおいは、危険をしらせる信号になりますし、食べ物が腐っているかどうかを判断する際に、その食べ物を嗅いだりして確認します。
嗅覚という感覚の特徴
人間においては、野生動物ほどの役割は薄くなってきていますが、その分、嗅覚は気分や感情と非常に密接なものになっています。
心地よい香りを嗅げば、気持ちが落ち着いたり、リラックスしたり、精神的に豊かで潤いのある気分に浸ることができますし、悪臭を嗅げば、不快な気分になり、気分が悪くなったり吐き気を催したりします。
人間は、同じにおいを嗅ぎ続けていると、いわゆる鼻がバカになるという状態になります。
つまりそのにおいを感じなくなっていくのですが、これは嗅覚の順応現象と呼ばれるものです。
そのため、ガス中毒などがあり、これは最初のうちはガスのにおいに気づいていたとしても、次第に慣れてにおいを感じなくなるため、もうガスが収まったと勘違いしてしまうため、ガス中毒になってしまったりします。
化粧品においても、同じ香水ばかり使っていると、その香水を使っている本人は、次第にその香水に鈍感になって、使いすぎる傾向になり、周りからあの人の香水はきついと言われてしまったりするのです。
若い女性は、においに敏感な傾向
嗅覚は、本能に近い感覚で、強く記憶に残るのも特徴で、そのにおいをかつて嗅いだときの情景が彷彿として思い起こされたりもします。
においの感度は、一般的には女性の方が感度が高く、20代後半から30代前半がもっとも感度が良いと言われていて、同じにおいを嗅いだとしても、そのにおいを強いと感じる人と、弱くしか感じない人がいて、嗅覚の個人差は大きいと言われています。
嗅覚と心理効果
嗅覚刺激により生理心理効果は幅広く、多くの研究がされてきています。
鎮静効果・高揚効果、リラックス効果・ストレス緩和効果などがあり、睡眠への影響や、免疫機能に与える影響などについてもいろいろ研究されています。
さらに、心理的手法や脳波、心拍などの神経系の指標、生化学的指標に基づく香りの効果も数多く研究されてきています。
香りはマスキング効果や美容面だけでなく、人の感情や情緒に快い感覚を与え、さらに自律神経系やホルモン系、免疫系に影響を与え、ホメオスタシスの維持向上にも役立つことが明らかにされてきています。