実は、薬用浴用剤は承認されたもので、効能効果というものが決められています。
そして、その効能には「血行促進」というようなものがないので、直接に「血行促進薬用入浴剤」のような記載をしてしまうと、承認で取得した効能以外の効能を記載したとして、法的に問題になってしまうのです。
浴用剤の効能ってどうなってるの?
薬用浴用剤に認められている効能は、「あせも、荒れ性、うちみ、肩のこり、くじき、神経痛、湿疹、しもやけ、痔、冷え症、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え症、にきび」になります。
温泉にいくと、肩こりに効くとか、腰痛に効くとかいわれたりしていますが、入浴剤ではこうしたことは標ぼうできないのです。
こうした入浴剤についての表示や広告については、厚生労働省から通知が出されていたり、業界の自主基準でいろいろ細かく決められているために、好き勝手に表示できないのです。
いろいろと複雑な浴用剤の効能の表現しばり
『浴用剤(医薬部外品)の表示・広告の自主基準の実施について』という通知が出されていて、効能効果の表示、広告にあたっては、「温浴効果及び清浄効果による諸症状の緩解」である旨を明示することというようになっています。
①温浴効果による諸症状の緩解の範囲をこえて、治療、予防できる旨の表現は行わないこと。
②鎮静効果がある旨の表現は行わないこと。
③具体的な図表を用いて、効能効果を保証するような表現は行わないこと。
④効能効果が有効成分の直接作用であるとする表現は行わないこと。
直接的な効果が言えないだけではなく、言葉じゃだめだからといって、サラ湯と比較したサーモグラフなどを用いると③に抵触してしまいます。
さらに、薬用入浴剤の効能として「にきび」があったとしても、「にきびの緩和」とか「にきびでお困りの方に」などとしてしまうと、にきび治療薬との誤認ということになり指導の対象になってしまいます。
あくまでも①にあるように、温浴効果による諸症状の緩解の範囲の表現ということになるのです。
また、森林浴が再現できるかの表現は行わないこととされています。
どうすればいいのか浴用剤の効能表現
効能に「にきび」があるのに、「にきびの緩和」とか「にきびでお困りの方に」などの表現がダメというのは厳しいような気もしますが、この場合は、入浴効果による旨、または温浴・清浄効果による旨を併記することで可能になってきます。
また鎮静効果についての表現については、気分や使用感につなげた表現にすることにより表現することができるようになってきます。
例えば、ミントの香りで気分リフレッシュ、ラベンダーの香りで気分がリラックスというように、「〇〇の香りで気分△△△」というような表現方法が可能になってきます。
また血行促進については、直接的な効能であるかのように表現することがいけないことから、あくまでも温浴効果であることをしっかり記載することで表現することができるようになります。
例えば、「有効成分が温浴効果を高め、血行を促進する。」というように表現を工夫できます。つまり、血行促進は温浴効果によるものということになります。
清浄効果については、例えば「蛋白分解酵素が清浄効果を高めます。」という表現であれば、化粧品・医薬部外品としての範囲内なのでOKです。
疲労回復という表現も不可ですが、「だるさをいやす」という表現はOKになっています。
このように、浴用剤の表示・広告のルールは複雑になっているのです。