導引術は、「気」というものを非常に大切にした健康法で、漢方医学とも関連が深く、「気」の流れが滞ることにより、「血」が滞るようになり、それにより「邪気」が蓄積していき、病気になっていくという考え方になっています。
気のパワーを最大限に高める導引術
導引術では、「人間が自然のままに生きる方法」を説いています。
自然というと、野生動物が連想されますが、人間は二足歩行になったこと自体がすでに不自然ともいえるのです。
導引術では、人間の体にひずみが生じ、それによって苦しむのは、人間が自然に反する行為をするからであるという考え方があります。
そして、それをなるべく自然に戻すために、動物の自然の姿、野生動物の動きをまねたものが取り入れられているのです。
人間って長生きなの? そうでないの?
寿命は体の大きさに関係するという話を聞いた人もいると思います。
一般に、動物の寿命は体重の1/4乗に比例するといわれたりもします。
確かに動物の寿命と体の大きさを比較してみると、大方、体の大きい動物は長寿になっていて、正の相関がみられますが、人間はこの相関関係からはずれて、体重の割には長生きすることになっています。
人間の場合は、自然から切りはなされ、天敵の心配もない状態で野生の動物より緊張する必要もないため、その分、寿命が延びて、この相関関係から外れているともいえます。
この視点から考えると、人間は長生きなのではと思われるのですが、これとは別に、動物は、成長期の5倍以上の寿命があるという法則もあります。
そうなると、人間の成長期を考えるとだいたい20年ですので、その5倍となれば、人間は100歳以上が寿命ということになります。
しかし、昔に比べて平均寿命が延びたとはいえ、まだまだ100歳までにはいっていません。
もし、人間が野生のときのように体の動きの習慣の積み重ねなどで不自然な体のひずみができなければ、もっと人間は健康に長生きできるということになるのです。
老化と導引術
人間は、歳を重ねるごとに、体の動きの習慣にクセができてきて、その積み重ねによって体に歪みが生じてしまうものです。
還暦を超えると、故障だらけの体をひきずって生きることになったりします。
現代社会の人間は、自然に反する状態に置かれているため、老化しやすくなってしまっているのです。
もし、人間の体本来の自然の状態に保つことができるのであれば、人間はもっと若々しく、楽に長生きができるのではないかともいわれています。
そうした中、導引術は動物の動きをまねるなどして、気の流れを自然な状態にすることで、長年の蓄積によってできてしまった歪みを改善し、治していくべく研究されてきたものなのです。