認知行動理論の第一世代と呼ばれる学習理論に基づく行動療法に関連して、その学習理論の方法として、レスポンデント条件づけとともに、オペラント条件づけというものがあります。
オペラント条件づけとは
レスポンデント条件づけが、古典的条件づけと呼ばれるのに対し、道具的条件づけと呼ばれるのが『オペラント条件づけ』です。
オペラント条件づけは、Skinner,B.F.により提唱され、ある状況で起こる自発的な反応がもたらす結果の学習によって、行動が変容するという理論に基づいています。
このオペラント条件づけを説明するときに用いられるのが、スキナー箱(別名、オペラント箱)と言われるものです。
スキナー箱の実験では、ブザーが鳴った時に偶然にネズミがレバーを押すとエサが出てくるようなしくみにしておきます。
そして、ブザーが鳴った時にネズミがレバーを押す行動をオペラント行動として測定していきます。
オペラント条件づけを行動療法に応用していくと、好ましい自発的反応が起こった場合に、それを強化する関わりを繰り返していくことで、自発的反応の頻度を上げていくということになります。
逆もしかりで、好ましくない自発的反応が起こった場合は、強化する関わりを排除していくことで、もともとの自発反応を減らしていきます。
オペラント条件づけと行動療法
オペラント条件づけを原理とした行動療法もいくつかありますが、その代表的なものを見ていくと、トークン・エコノミー法、シェイピング法、タイム・アウト法などがあります。
『トークン・エコノミー法』とは、トークンと呼ばれる疑似貨幣を適切な行動ができた場合に与え、一定量それを貯めると望む物と交換できるという方法で、子供に用いられることが多い方法です。
行動療法として、望ましい行動ができたときにご褒美をもらえることで、望ましい行動をとるようになっていくというものです。
『シェイピング法』とは、目標となる行動を直ちに習得することが難しいケースもありますが、こうした場合、達成しやすい課題からスモールステップを踏んで、段階的に目標行動に近づいていこうとする方法です。
『タイム・アウト法』とは、子供の問題行動に注意を向ける等のことがないように、タイム・アウト室に10分程度とどめて、問題行動をなくしていこうとする方法です。
猫の問題箱って何?
『猫の問題箱』とは、アメリカのEdward L. Thorndike が、試行錯誤を説明するために行った猫による動物実験になります。
空腹の猫を、紐を引くなどすると脱出できるようになっている問題箱に閉じ込めて、外にエサを置きます。
猫はエサを食べたいためいろいろと試行錯誤していく中で、偶然にも脱出でき、これを繰り返すと、しだいに脱出成功までの時間が短くなっていきます。
『タイム・アウト法』によるオペラント条件づけによる行動療法として、子供の問題行動などに応用されています。