ミツバチは、ハチ目(Hymenoptera)ミツバチ属(Apis)ミツバチ科(Apidae)になりますが、巣に集めた甘味物を採取したハチミツは、人気の健康食品になっています。
密の源となる植物には、アカシア、クローバー、ナタネなどいろいろ多岐に渡り、それにより同じハチミツといっても、その味や色、成分は大きく異なってきます。
ハチミツの主成分
ハチミツは、ヨーロッパミツバチ(Apis mellifera L.)または、トウヨウミツバチ(Apis cerane Fab.)が、巣に集めた甘味物になります。
その主成分は、転化糖で、全体の65%~85%を占めています。
それ以外では、ショ糖が2~10%を占め、その他、アミノ酸や有機酸などが成分として含まれています。

ハチミツが使われている漢方薬
ハチミツというと、滋養強壮剤や概要の美容クリームなどにも幅広く使われていますが、医薬品としては通常、結合剤や甘味剤、矯味剤として使われたり、局所保護薬として使われます。
しかし、漢方処方では、ハチミツを生薬として用いた処方があります。
それが大半夏湯(ダイハンゲトウ)です。
大半夏湯は、次のような効果があります。
「体力中等度以下で、みぞおちがつかえた感じがあるものの次の諸症:嘔吐、むかつき、はきけ、悪心」
漢方で言うと、脾胃虚寒による嘔吐ということになり、上腹部に冷えや膨満感がある場合に適した処方になっています。
大半夏湯の配合生薬は、その名のとおり半夏を中心として、人参と蜂蜜になっています。
蜂蜜(ハチミツ)自体の漢方処方における役割としては、漢方的には潤肺、補中、止痛などの効能があり、慢性の咳嗽や便秘、胃の痛みなどに効果が期待されています。
ローヤルゼリーとハチミツ
ミツバチの分泌物というと、もう1つローヤルゼリーがありますが、こちらは働きバチの頭部にある分泌腺から分泌されるもので、女王蜂の幼虫や成虫の唯一の食物で「王乳」とも呼ばれています。
女王蜂の幼虫は、ローヤルゼリーがつまった「王台」と呼ばれるところに産みつけられます。
ローヤルゼリーは、鉄・銅・亜鉛・マンガン・マグネシウム・カルシウムといったミネラル、アスパラギン酸・グルタミン酸・チロシン・グリシン・アラニン・スステイン・タウリン・バリン・ロイシン・イソロイシン・リジン・フェニルアラニン・スレオニン・ヒスチジンなどのアミノ酸、ビタミンB群などの多岐にわたる栄養成分を含んだ優れた滋養強壮成分になります。
ミツロウとプロポリス
ミツバチは、私達にハチミツやローヤルゼリーといった素晴らしい贈り物を提供してくれていますが、それ以外にも、ミツロウやプロポリスといった非常に有用な物質もプレゼントしてくれています。
ミツロウは、ミツバチが体内で合成する蝋(ワックス)で、ミツバチとしては巣の構成材料として使っていますが、軟膏の基剤や化粧品原料、ろうそくの原料などにも使われます。
プロポリスは、植物が新芽保護や傷修復のために分泌する滲出物をミツバチが集めたものになり、ミツバチとしては巣の補強材料に使っていますが、それを人間は人気の健康食品成分として利用しているのです。