健康に関する情報を集めていると、「〇〇は健康に良い」というものを見つけると、たいていその反対の「〇〇は健康によくない」というような、その内容を否定するような情報があります。
ネットのみならず、きちんとした論文においても、賛否両論があるのです。
新型コロナに関しても、いろいろな専門家が出てきて、180度違ったことをしゃべってりしていたりすると、いったいどの情報を信じたら良いのか、迷ってしまうこともあるでしょう。
健康リテラシーとエビデンス
健康リテラシーは、「健康に関する情報を読み解き、正しく活用していく能力」です。
ネット社会、私たちは、すぐにいろいろな情報にアクセスできます。
健康に関する情報もしかりですが、ネットやテレビ、本で流れている情報は、玉石混交です。
健康に関する情報を読み解き、正しく活用していくには、多くある情報から、どれが確度が高い情報であるかを見抜く力が大切になってくるのです。
そこで一つの指標として、『エビデンス』つまり科学的根拠が問題となってくるのです。
エビデンスという言葉の幻想
『エビデンスがある』というと、いかにもそれは正しいことのように感じてしまいます。
しかし、エビデンスのレベルもピンキリなのです。
例えば、ある論文を引用して、何かを主張していたとしても、その論文をきちんと最初から最後まできちんと読んで、しっかりと理解し、正しい知識をもって『エビデンスがある』と主張しているかどうかという問題があります。
さらに、そのもとの論文が本当に確度があるものなのかどうか、つまりエビデンスの強さがどのくらいなのかという問題もあります。
また、論文で行われた研究データそのものは正しいものであっても、そこから導き出されている結論が、本当に正しいのかということも問題になってくる部分です。
例をあげると、特定保健用食品などは、一定のエビデンスのもとで、機能表示が許可されていて、それには、一定レベル以上の論文データも必要になってきます。
もちろん、エビデンスはありますし、ウソではありまんが、そこで示されているデータはあくまで一面的なものであり、100%正しいかどうかというと、そうではないでしょう。
エビデンスは出所も重要
「〇〇は健康に良い」という情報があった場合に、その出所も重要です。
超一流と言われている医学誌などに掲載された論文であれば、確度は高い情報ですし、査読もないような三流の論文であったり、学会誌であったりであれば、確度は低くなってきます。
メーカーのデータも、目的は自社の商品の優れたところをアピールして商品を売ることですから、都合のいい部分だけをピックアップしている可能性もあります。
超一流と言われる医学雑誌をあげてみると、The Lancet、Nature、Science、New England Journal of Medicine、Journal of The American Medical Association などがあります。
これらの雑誌ですら、小保方晴子さんのスタッフ細胞の論文が掲載されてしまったり、新型コロナウイルス関連で後に取り下げられたものなどがでてきているので、これら超一流の雑誌ですら、100%のエビデンスというのは難しいところなのです。
「〇〇は健康に良い」という情報があれば、たいていその反対の「〇〇は健康によくない」という情報もあります。
健康リテラシーというと、両方を見比べて、どちらが本当に正しいのかを見極める力も必要になってくるのでしょう。
もっとも、科学ではっきりと結論がわかっているものでもなければ、たとえそれがウソでなく正しいとしても、ある一面だけしかみていないということも頭に入れておくことも大切なのかもしれません。