6月~9月が旬のトマトは、生で食べてもよし、トマトジュースにしても、ケチャップにしてもよしといろいろな料理に利用されています。
中でもイタリア料理やギリシャ料理では、トマトは大活躍する野菜です。
トマトの日本史
トマトの原産地は、南米のアンデス山脈の西側に位置するペルー・エクアドル・ボリビアにかけての高原地帯になります。
これをコロンブスが15世紀にヨーロッパに持ち帰り、その後ヨーロッパ各地で広まったとされています。
日本へは、江戸時代の初期にオランダ人によって持ち込まれたとされていますが、その当初は食用ではなく専ら観賞用として利用されていました。
日本でトマトが食用として栽培され広まっていったのは明治時代以降とされています。
トマトは抗酸化野菜の女王
トマトは、野菜の中でも抗酸化成分が豊富に含まれた野菜で、三大抗酸化ビタミンと言われるビタミンC、ビタミンE、β-カロテンがすべて豊富に含まれていて、この3つのビタミンの相乗効果による抗酸化作用で、活性酸素を除去し、血管を健やかに保ち、美肌効果もあります。
ビタミンCでいうと、トマトを1個(250g)食べると、1日に必要なビタミンCのおおよそ1/3を摂取することができます。
さらにトマトを赤くする赤色色素のリコピンも、優れた抗酸化作用をもち、その抗酸化作用は、β-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍あると言われています。
トマトというと、もちろん生野菜で食べても美味しいのですが、煮込んだりして食べるケースも多くあります。
トマトに含まれているリコピンは、加熱することでその吸収率がなんと約3倍になるので、加熱しても栄養成分はほとんど変わらずに吸収率が増えるため、栄養価は格段にあがります。
トマトの抗酸化成分と調理ということを考えると、抗酸化作用をもつビタミンCは熱に弱いのですが、リコピンで考えると吸収率が増える分、加熱調理ではプラスに働きます。
ビタミンCを摂取したいのであればトマトは生でとなりますが、β-カロテンやリコピン、食物繊維は煮たり炒めたりジュースにしたりしてもあまり減りません。

抗酸化成分だけでないトマトの栄養価
トマトというと、リコピンをはじめとするビタミンC・ビタミンE・β-カロテンといった抗酸化成分が注目されますが、それ以外にも健康に良いとされている成分が豊富に含まれています。
トマトにはミネラルとしてカリウムが豊富に含まれているため、体内のナトリウムの量を適正に保ち、血圧の安定にも有効に働きます。
またトマトといえば、特に煮込んだりするとそのすっぱさが特徴的ですが、これはトマトに含まれる有機酸のクエン酸によるものです。
このクエン酸は、胃の働きを活発にし、代謝を促進し疲労回復効果が期待できます。
トマトには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。
水溶性食物繊維のペクチンは、血中のコレステロール値を下げる働きが期待でき、不溶性食物繊維は便のカサを増して便通を整える効果が期待できます。
ただ、トマトがいくら健康成分豊富な野菜だからといって、食べ過ぎは要注意です。
トマトは薬膳においても五味は「寒」となっているくらい、水分が多く体を冷やす夏野菜ですので、体を冷やす働きがあります。
また、食物繊維も豊富なため食べ過ぎにより便がゆるくなることもあります。
何事もほどほどにということでしょうか。