医食同源は、食べ物と薬が同じ起源ということになりますが、東洋医学においてはいろいろな言葉が出てきます。
中薬とは
「中薬(ちゅうやく)」は、中国の医学、つまり中医学の理論に基づいて使用されるものです。また食用にも薬用にも利用できるおのを「「食薬」と呼んでいます。
では中薬はどのぐらいの種類あるのかというと、『中薬大辞典』に収載されているものだけでも、12,807種類にも上ります。
植物だけでなく、動物、鉱物も含まれています。
これは、昔から人類がいろいろと食物を得るために、身体で「美味しい」という経験や中毒になったという経験の積み重ねによる食材や薬草の知識からなっています。
食薬の考え方
食材は、もちろん食物としての意味合いがありますが、それとは別にそれぞれの臓器に働いて、食材を組み合わせることによりバランスを整えて身体の精気を補うことができます。
医食同源ということで、食材は中薬と同じという考えがあり、同じものでも空腹を満たすために食すると食材に、病気を治療するために利用すると中薬になるということになります。
例えば、お腹が空いたというときにお米を食べますが、このときのご飯は穀類であり、食事ということになります。
しかし、胃が弱っているときには、お米をお粥にして食べたりしますが、このお粥は穀類の補気作用を活かした中薬であるという考え方になります。
食事の大切さを説いた寿親養老書
中国では、1116年から1228年の金の時代、日本で言えば中世鎌倉時代で、源頼朝が征夷大将軍に任ぜられ、鎌倉幕府を開いた頃にあたりますが、「寿親養老書(じゅしんようろうしょ)」が書かれ、その中に「善治薬者不如善治食」という言葉が出てきます。
漢字が並んでいて、いったい何のこっちゃとなりますが、意味は次のようになります。
いくら薬を上手に使って治療しても、食を利用した治療には及ばない
つまり、健康には食生活が大事だよということです。
そしてこの寿親養老書には、水産物も農産物も多くの種類があるが、気味や作用は薬と同様であり、それに関する知識を得て、調合して使えば、効果は薬の何倍もあるので、よく薬を使う人よりも、上手に食を利用する人のほうが良いということも書かれています。
酒は百薬の長
食べ物が薬にもなりうるということで思いだすのが、「酒は百薬の長」という言葉です。
もちろん、ご存じのとおり、「適量の酒はどんな良薬よりも効果がある」という意味になりますが、お酒もその量次第で毒にもなるし薬にもなるということです。
ちなみに、医学の「医」という文字は、昔は「醫」という文字を使っていて、この字の下の部分は「酒」を意味しています。