慢性疲労症候群の診断指針 | 健康トピックス

慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)は、1988年にCDC(米国疾病対策センター)により提唱された比較的新しい疾患概念です。

1999年に厚生労働省の研究班が行った疫学調査では、59.1%の人が疲労を感じ、その半数が疲労が半年以上続くか、繰り返しているという結果がでています。

2000年に医療機関受診患者2180人に対して行われた疲労の調査では、医師が病名を特定できたものは約4割で、残りの6割は単なる過労か原因不明の慢性疲労だったということが明らかになっています。

厚生労働省のCFS診断基準

慢性疲労職群の診断基準としては、厚生労働省が1991年に作成した『厚生省CFS診断基準』が用いられています。

これによると、まずは次の2項目を満たすことが必須条件になっています。

① 生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返すこと
② 慢性疲労の原因と考えられるような疾病を除外すること

さらに次の基準があります。

◎症状基準
(以下の症状が6カ月以上にわたり持続または繰り返し生ずること)

1. 微熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒
2. 咽頭痛
3. 頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張
4. 原因不明の筋力低下
5. 筋肉痛ないし不快感
6. 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感
7. 頭痛
8. 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛
9. 精神神経症状(いずれか1つ以上)
羞明、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、錯乱、思考力低下、集中力低下、抑うつ
10. 睡眠障害(過眠、不眠)
11. 発症時、主たる症状が数時間から数日の間に発現

◎身体所見基準
(2回以上、医師が確認)

1. 微熱
2. 非浸出性咽頭炎
3. リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)

日本疲労学会

疲労のことについては、「日本疲労学会(Japanese Society of Fatigue Science)」ができ、抗疲労臨床評価ガイドライン、疲労感の評価方法、疲労感VAS検査方法などが出されています。
参考:日本疲労学会 https://www.hirougakkai.com/

日本疲労学会の慢性疲労症候群診断指針

日本疲労学会の慢性疲労症候群診断指針は、次のようになっています。

前提1:病歴、身体初見、臨床検査を正確に行い、慢性疲労をきたす病態・疾患を除外する。
尿検査、血液一般検査(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像)、CRP、赤沈(またはシアル酸)、血液生化学(TP、たんぱく分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、血清電解質、甲状腺検査(TSH)、心電図、胸部単純X線撮影

前提2:前提1の検査によっても慢性疲労の原因が不明のとき、次の4項目を満たす。
① この全身倦怠感は新しく発症したものであり、比較的急激に始まった。
② 十分な休養をとっても回復しない。
③ 現在行っている仕事や生活習慣のせいではない
④ 日常の生活活動が、発症前に比べて50%以下となっている。あるいは疲労感のため、月に数日は社会生活や仕事ができず、自宅で休んでいる。

前提3:以下の自覚症状、他覚症状初見のうち5項目以上認める
自覚症状
① 労作後疲労感(労作後休んでも24時間以上続く)
② 筋肉痛、圧痛店を認めない
③ 多発性関節痛、腫脹はない
④ 頭痛
⑤ 咽頭痛
⑥ 睡眠障害(不眠、過眠、睡眠相遅症)
⑦ 思考力・集中力低下
他覚的所見(医師が1ヵ月の間に2回以上認める)
⑧ 微熱
⑨ 警部リンパ節腫脹
⑩ 徒手筋力テストによる筋力低下

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