水というとヒトの体の約7割を構成するもので、生きていくにはとても大切なものです。
私たち人間が生きていくためには、1日に2.5Lの水が必要ともいわれています。
でも、その水が毒になってしまう『水中毒』という病気があるのです。
水が毒になる水中毒とは
水中毒(water intoxication)は、水分を過剰摂取することによって生じる中毒症状です。
具体的には低ナトリウム血症や痙攣を起こして、重症になると死亡することもあります。
水中毒になると、軽い場合は、軽度の疲労感が出てきます。少し症状が進むと頭痛・嘔吐のほか精神症状がでてきます。さらに症状が進むと性格変化が起きたり、痙攣が起こり昏睡状態になり、ひどい場合は死に至ります。
どうして水中毒が起こるのか
原因は、水分の過剰摂取が直接原因になります。
誤った知識によるダイエットや、大量の水分補給により起こる場合があります。
統合失調症の慢性期などにも、抗精神病薬の副作用で多飲が起こり、その結果、水中毒になることがあります。
ダイエットなどで空腹を紛らわそうと水を大量に飲むことは、非常に危険なことなのです。
人間は、普通に水を摂取している分には、腎臓が正常に機能し、尿として排泄されます。
しかし、人間の腎臓が持っている最大の利尿速度を超えて水を摂取してしまうと、体内の水分過剰で細胞が膨化し、希釈性低ナトリウム血症を引き起こす水中毒が起こってしまうのです。
人間の腎臓が持っている最大の利尿速度は、毎分16mLとされています。
単純計算すると、10分で160mL、1時間で1L弱となります。
実際にあった米国でのバカな話
テレビやラジオで悪ふざけをするという番組があるが、悪ふざけで済んでいる分には良いが、やりすぎると死に至ることがあり笑えない話になる。
米国のラジオ番組で、トイレに行かないで水をどれだけ飲めるのかというコンテストが開かれたのですが、この企画に参加した挑戦者が、短時間で7Lもの水を飲んだ結果、頭痛と腹部の膨張を訴えて病院に運ばれました。
人間の腎臓の持っている最大利尿速度を考えると、いかに無謀なことかがわかります。
この挑戦者はその後、死亡してしまい、検死の結果、『水中毒』と判明しました。
水中毒対策は
水中毒対策は、まずは水の過剰摂取が原因なので、水分の制限をすることです。
そして、症状が重い場合は、輸液によってナトリウムの補充が必要な場合もあります。
しかし、急速な塩分の補給は、脳の損傷につながる可能性があるので、塩分は時間をかけて徐々に補充していくことが大切です。
水中毒の予防としては、水分補給は一度に大量の水を飲むのではなく、少量ずつ何回かに分けて飲むと良いでしょう。
水分補給の合間に、うがいなどで口内を潤すのも効果的です。
また水分を補給する場合は、ナトリウムなども補給できる経口補水液がオススメです。