漢方・中医学での病気の捉え方 | 健康トピックス

漢方では、健康な状態は、五臓六腑を中心として組織が正常に働き、気・血・津液・精が充実している状態、つまり正気(せいき)が充実している状態を指し、この正気が充実している状態であれば、病気は発生しないということになります。

漢方・中医学でいう病気

漢方・中医学では、正気が充実していれば、健康で病気にならないのですが、何らかの原因で正気に隙ができたり、不足したりしたときに、病気のスタンバイ状態になります。

正気の隙に乗じて、病邪が体の中に侵入してきて、この邪と正気が相争することにより、急性病が生じて、その際に、正気の不足や相互の平衡が失調していてすぐに回復できない状態になってしまうと、慢性期に移行していきます。

漢方・中医学の基本では、このように『正気』の隙や不足により病気が発生する、すなわち、病気の根本原因は、体の側にあり、外からの要因は病気を発生させる条件であるという考え方をしています。

そして、外からの病邪ではなく、体自体に由来する要因で引き起こされる病気を『内傷(ないしょう)』といい、季節・気候・環境・日内変動といった外界の要因で発症してくる病変を『外感(がいかん)』と呼んでいます。

内傷に関連したもの

『内傷(ないしょう)』、つまり病気を引き起こす体自体に由来する要因としては、日常生活の上での要素であったり、精神的要素であったり、社会的要素などが関連してきます。

『七情内傷(しちじょうないしょう)』は、「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚(きどゆうしひきょうきょう)」という七情(七種類の感情の表れ)によって、正気が消耗してきます。

精神的ストレスや緊張、抑うつなどはこの七情内傷のカテゴリーに入ってきます。

『飲食不節(いんしょくふせつ)』は、いわゆる暴飲暴食や不規則な食事時間、さらには飲食物の温度の不適や、悪い酒癖などにより、脾胃の消化器官が損傷を受けることによって病気が起こってきます。

『労逸不当(ろういつふとう)』は、代表的なものをあげると、いわゆる過労により正気のバランスを崩し、病気になります。

過労の他に、過度な頭脳労働や、過度の性交なども正気を損傷させます。

外感に関連したもの

『外感(がいかん)』には、季節・気候・環境・日内変動といった外界の要因が大きく関係しています。

自然界においては、風木の春、火暑の夏、湿土の長夏(夏と秋の間の73日を指す)、燥金の秋、寒水の冬という季節の移り変わりがあります。

そして、「風・寒・暑・湿・燥・火(ふうかんしょしつそうか)」の六気が正常な気候の変化とされています。

本来は、正気が充実していれば、このような外界の変化に適応でき、適応できている限りは病気にはなりません。

しかし、気候が異常になって、猛暑の夏や極寒の冬、それとは逆に冷夏や暖冬になり、人間の体がこれに適応できなくなると、外界の気候が発病因子として病邪に変化してきます。

ウイルスや細菌による疾患や、アレルゲンによるアレルギーなども、外感によるものとされています。

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