瀉心湯の仲間たち | 健康トピックス

漢方処方の中で、『瀉心湯』と名前がつく処方がいくつかあります。
主要なものをあげてみると、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)、生姜瀉心湯(しょうきょうしゃしんとう)があります。

瀉心湯の名前の由来は、その働きにあり

瀉心湯の名前の由来は何なのだろうか。

もしかしたら構成生薬から何かヒントが得られるのではないかと、主要な4つの瀉心湯の構成生薬を調べてみると次のようになっています。
半夏瀉心湯:半夏、黄?、乾姜、人参、甘草、大棗、黄連
三黄瀉心湯:大黄、黄?、黄連
甘草瀉心湯:半夏、黄?、乾姜、人参、甘草、大棗、黄連
生姜瀉心湯:半夏、人参、黄?、甘草、大棗、黄連、乾姜、生姜

4つの処方に共通している生薬は黄?で、三黄瀉心湯以外の3処方に共通なのが「半夏、黄ごん、乾姜、人参、甘草、大棗、黄連」になり、半夏瀉心湯と甘草瀉心湯は構成生薬は同じですが、配合量が多少違っています。

三黄瀉心湯の「三黄」とは、「黄」の文字が含まれた大黄・黄ごん・黄連の3つの構成生薬だということがすぐにわかります。

ということは、瀉心湯というのは、処方の働きを意味しているのだということが自然と推測できます。

瀉心とは

それでは、「瀉心」とは何かというと、「みぞおち(心下)のつかえ感を去る」ことで、また「心のわだかまりを取る」という意味もあることから、ストレス性の胃腸症状に効果的な処方群なんじゃないかと推測できるのです。

実際の効能をみても、胃腸関連の効能がちゃんと含まれています。

半夏瀉心湯:体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

三黄瀉心湯:体力中等度以上で、のぼせ気味で顔面紅潮し、精神不安、みぞおちのつかえ、便秘傾向などのあるものの次の諸症:高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳なり、頭重、不眠、不安)、鼻血、痔出血、便秘、更年期障害、血の道症注)

甘草瀉心湯:体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときにイライラ感、下痢、はきけ、腹が鳴るものの次の諸症:胃腸炎、口内炎、口臭、不眠症、神経症、下痢

生姜瀉心湯:体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

黄ごんと瀉心湯の働き

4つ瀉心湯で共通している生薬といえば、黄ごんですが、精神と血脈をコントロールしている「心」の熱を冷やすことにより、そこからくるみぞおちのつかえであったり、不安・不眠・神経症・更年期障害などに効果を発揮します。

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