白虎と青竜、朱雀、玄武の漢方薬 | 健康トピックス

四方を守護する四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)、これに五行説の考え方を取り入れ、中央を守護するものとして黄龍または麒麟を加えた五神というものがあります。

特に四方を守護する四神にちなんだ名前の漢方処方があるのでご紹介していきます。

特別な『白虎』と『青竜』

漢方薬には、『白虎』『青竜』がついた処方があります。

漢方には、五行説という概念があり、これに合わせて五神というものがあり、中央に、麒麟、そして東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武がその五神になっています。

また中央の麒麟を除く、青龍・朱雀・白虎・玄武を四神ということもあります。

特に、虎と竜は、五経のひとつである中国の古典『易経』にも「龍吟ずれば雲起こり、虎嘯けば風生ず」という言葉が出てくるくらい、勢いがあるもの、強い物の象徴とされてきました。

『青竜』がつく漢方処方

『青竜』という文字が入った漢方処方をみていくと、漢方関連の書籍によく出てくる処方としては、小青竜湯、小青竜湯加石膏、小青竜湯加杏仁石膏があります。

小青竜湯の効能・効果は、体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症となっています。

小青竜湯の構成生薬を見てみると、麻黄、芍薬、乾姜、甘草、桂皮、細辛、五味子、半夏の7生薬になっています。

これに石膏が加えられたのが小青竜湯加石膏、さらに杏仁も加えたのが小青竜湯加杏仁石膏という処方になっています。

小青竜湯は、なぜ五神の一つでもある『青竜』という文字が入っているのかというと、これは小青竜湯に配合されている『麻黄』に由来しています。

麻黄は、その基原植物であるマオウの草質の地上茎を採取した後に、日陰などで乾燥しますが、。このときの色が青いことから『青竜』と呼ばれています。

『白虎』がつく漢方処方

『白虎』という文字が入った漢方処方をみていくと、漢方関連の書籍によく出てくる処方としては、白虎湯、白虎加桂枝湯、白虎加人参湯があります。

白虎湯の効能・効果は、体力中等度以上で、熱感、口渇があるものの次の諸症:のどの渇き、ほてり、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみとなっています。

白虎湯の構成生薬を見てみると、知母、粳米、石膏、甘草の4生薬になっています。
これをベースに桂枝を加えた処方が白虎加桂枝湯、桂枝ではなく人参を加えた処方が白虎加人参湯になります。

白虎湯は、なぜ五神の一つでもある『白虎』という文字が入っているのかということですが、配合生薬の石膏が白い色をしているので、そこからきているのではないかと言われています。

また石膏は肺熱を取り去る働きがあり、五行説でいうと五臓の肺の守護神は白虎であることから、これも関係しているのかもしれません。

『朱雀』や『玄武』にちなんだ漢方処方もある

さて、青竜と白虎以外に、朱雀や玄武もその名にちなんだ漢方処方があります。

朱雀湯は、傷寒論に出てくる十棗湯のことと言われており、強力な瀉薬である芫花、甘遂、大戟、大棗からなる処方で、最近ではほとんど使用されていない胸水に対する処方になっています。

朱雀の名前の由来は、構成生薬の大棗が赤いことに由来していると言われています。

玄武湯は、現在は真武湯と言われているもので、冷えやむくみ等に対し、体を温め、水をさばく処方として、茯苓、芍薬、白朮(蒼朮も可)、生姜、加工附子がその構成生薬になっています。

玄武の名前の由来は、その構成生薬である附子が黒いことに由来していると言われています。

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