胃に不快感があるので、胃カメラやバリウムを使った検査を受けても、見た目には特に異常なしと言われたものの、やっぱり確かに症状があり、食べた後、しばらく胃が重くもたれる感じがするといった症状がある場合、機能性ディスペプシアかもしれません。
異常がないのに胃が不快な機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、ギリシャ語で消化不良を意味する言葉が語源になっていますが、医学的に言うと、日常の診断で行われる一般的な検査で、見た目では明かな異常がないのに、慢性的あるいは反復性に一定の頻度で、食後愁訴症候群や心窩部痛症候群があるつらい症状が続いている状態をさします。
食後愁訴症候群は、食後に胃もたれがあったり、食事の途中ですぐにおなかがいっぱいになるといった症状があります。
心窩部痛症候群は、みぞおちのあたりが痛くなります。
6か月以上前から症状が現れ始めていて、3カ月前頃からは、週に1回~数回以上、こうした症状が見られる場合、機能性ディスペプシアが疑われます。
機能性ディスペプシアは、特に早食いや過食を慎む
機能性ディスペプシアの人は、早食いで過食しがちである傾向にあります。
美味しそうな食べ物を見たり、その匂いを嗅いだりすると、その刺激が脳に伝わります。
食事を味わったり、咀嚼したりすると、その刺激が脳に伝わり、胃の働きを活発にし、胃液の分泌を促します。
やがて食べ物が胃に入っていくと、胃壁が伸展され、食べ物の刺激によって胃からガストリンという消化ホルモンが分泌され胃の働きが刺激されます。
そして、食べ物が胃から十二指腸へ送り込まれると、今度は十二指腸からコレチストキニンという消化ホルモンが分泌され、胆汁や膵液などの消化液の分泌が刺激されます。
すると、腸への負担を軽減するために、胃の動きが抑制されて、胃からの食べ物の排出がゆっくりになってきます。
食事を始めて、胃が食べ物を受け入れる準備をするには、少し時間がかかり、よく咀嚼することで胃の働きを良くする迷走神経が刺激され、消化されやすくなります。
胃に食べ物が入ると、胃は膨らみ、より多くの食べ物を受け入れようとしますが、この反応は食事をしてから約15~20分ごろに最も強まってきます。
早食いをしてしまうと、この反応が働かないうちに、胃へ次から次へと食べ物が放り込まれるかたちになり、胃はゆっくりとふくらむことができず、胃壁が強制的に伸ばされて、胃の不快感につながってしまうのです。
機能性ディスペプシアの人が、もう一つ食事のときに気をつけたいこと
機能性ディスペプシアの人は、食事のときに、早食いや過食を慎むべきと述べましたが、もう一つ気をつけたい点があります。
それは、症状を気にしすぎて食べることです。
食べたらまたつらい症状が出てくるのではないかと思いながら食べていると、不安やイライラが募ってきて、それが胃の動きを悪くしてしまったり、胃の知覚を敏感にしてしまい、さらに不安が大きくなり、症状がますます強くなってしまうことがあるからです。
なるべく、音楽を聴いたり、楽しいことを考えたりしながら食事をとることをオススメします。