最近の研究で、腸内細菌が時差ぼけをすると肥満になりやすくなるという研究発表がありました。
いったい、腸内細菌が時差ぼけするとはどういったことなのでしょうか?
時差ぼけでマウスの腸内フローラのバランスに変化
マウスの実験ですが、時差ぼけをすると、腸内フローラの腸内細菌の比率が変わってくるという結果が得られています。
実験では、マウスに人工的に時差ぼけ状態を起こさせ、腸内フローラのバランスを見ています。
通常、実験用のマウスは、実際の昼夜に合わせて、12時間交代で明るくなったり暗くなったり飼育部屋の環境が整えられていたりします。
これを1週間かけて、昼夜逆転するようにします。つまり、意図的にマウスに時差ぼけを起こさせるのです。
そして、昼夜逆転した状態で3カ月飼育し、糞を採取して腸内細菌を調べたところ、マウスの腸内細菌のバランスが変化していることがわかったのです。
なんと、時差ぼけの状態のマウスだと、バクテロイデーテス門の腸内細菌が、全体の44.6%あったものが、38.6%に減っていたのです。
時差ぼけマウスと肥満
時差ぼけマウスは、バクテロイデーテス門の腸内細菌が減っていたのですが、このバクテロイデーテスが少ないと肥満になりやすい腸内フローラであると言われています。
そして、このバクテロイデーテス門の腸内細菌が少ないと、高脂肪食であればあるほど、睡眠の乱れの影響を強く受けることが言われています。
そして睡眠の乱れに食事の乱れが加わると、バクテロイデーテスは全体の7.5%にまで減ってしまうという結果がでています。
さらに、これはマウスだけのことではなく、人間の腸内細菌でも同じようなことが起こるという研究結果があります。
人間の腸内フローラも時差ぼけで乱れる
とある研究では、時差8時間となるアメリカからイスラエルに向かう旅行者2人の便を採取し、解析しています。
旅行前日、旅行した次の日(時差ボケ中)、旅行2週間後の3回にわたって便を採取して比較しています。
この結果、時差ボケ中つまりアメリカからイスラエルについた次の日に取った便では、バクテロイデーテスが明らかに減少していることがわかりました。
さらに、それぞれ3回にわたって採取された便をマウスに移植して結果、時差ボケ中の腸内細菌を移植されたマウスだけが体重増加しました。
時差ボケが生じるような旅行をした直後は、人間は太りやすくなっているのかもしれません。
よく夜更かしをすると太りやすいとか、生活が乱れると太りやすいということを言われます。
これにはいろいろな要因がからんでいるものと思われますが、その要因の1つに腸内フローラのバランスも大きく関係しているのかもしれません。