運動する人が増えても、太った人は減らない | 健康トピックス

運動を健康はもちろん、美容・ダイエットのために始めるという人もいると思います。

運動していれば、体脂肪が燃えて痩せてくるのではないかというイメージがあります。

運動をしていても太っている人もいる

肥満になるかどうかは、摂取カロリーと消費カロリーの引き算だという考え方があります。

つまり、摂取カロリーが増えれば太り、消費カロリーが減れば肥満になります。

したがって、運動をすれば消費カロリーが増えるので、摂りすぎたカロリーも燃やすことができるというわけです。

しかし、実際には、毎日3~4時間水泳の練習をしている人が、体重が増え、BMIも30近くで体脂肪率も25%ということもあります。

これは何も一人の極端な例ではありません。

実際に、イギリスで1977年~2008年に行われた調査では、普段から運動する人の割合が男性では32%から39%へ、女性では21%から29%へ笛たにも関わらず、肥満率の減少にはつながらなかったという結果がでています。

特に欧米先進国では、年々肥満の割合が増えてきています。

毎日長距離を移動してもダメ

運動をすれべするほど、消費カロリーが上がり、痩せていくというイメージがあります。

ここで2012年8月に面白い研究記事がニューヨークタイムズに掲載されているのでご紹介します。

タンザニアに住んでいるハッツァ族という民族は、なんと食料を得るために1日に24km~32kmを移動すると言われています。

これは、毎日ハーフマラソンの距離の1.5倍もの距離を移動しているのでかなりの運動量になると思われます。

しかし、このハッツァ族の人達が1日に燃やすカロリーは、欧米諸国の一般人とほとんど変わらなかったのです。

もちろん、これだけの距離を移動すればかなりの運動量になるので、健康には良いのですが、ことダイエットということに関していえば、それほど効果はないということになります。

消費カロリーの幻想

実際に、1日に消費されるカロリーは、何も運動したときのエネルギーだけではありません。

つまり、1日の総エネルギー消費量は、運動によるエネルギー消費の他に、基礎代謝量、食事による熱発生効果、非運動性熱産生、運動後過剰酸素消費量などによる消費が足し合わされたものになります。

そして、この総エネルギー消費量の大部分を占めているのは、運動による消費量ではなく、基礎代謝量になります。

つまり、呼吸や体温の維持、心臓の拍動の維持、脳機能の維持、肝機能や腎機能によるエネルギー消費といった、基礎代謝によって消費されているのです。

そして、運動によるカロリー消費によっても燃やせる脂肪は5%が限界とも言われています。

毎日、ゆっくりと45分間ウォーキングをしたとしても、そこで消費される運動量は104kcal程度です。

つまり総エネルギー消費量の5%ほどしか消費していないことになります。

これとは別に、基礎代謝量は年齢とともに落ちていき、基礎代謝量は筋力の低下とともに減っていきます。

ダイエットという面で考えると、運動によるエネルギー消費よりも、過食によるエネルギー過多、基礎代謝による消費のほうが影響力が大きいのです。

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