食べる量を減らすと太ってしまうパラドックス | 健康トピックス

 

『パラドックス』という言葉を調べてみると、

「正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉」となっています。
平たく言えば、一見正しく思えるが正しいと認められていない、あるいは一見間違っていると思われているが正しい説というようなことになります。

つまり、『食べる量を減らすと太ってしまう』というのは、一見間違っていると思われがちですが、実は事実であるということなのです。

米国での飢餓実験でどうなったのか

米国で興味ある実験が行われています。

平均的な若い男性36人を集め、最初の3カ月は1日の摂取カロリー量を3200kcalにしてごく標準的な食生活を送ってもらいます。
次の6カ月は、1日の摂取カロリー量を1570kcalにしてもらいます。つまり半飢餓状態にします。
1570kcalというのは、体重24%減を達成するように定められたものです。
そのため、1日の摂取カロリーを1000kcal未満に制限された人もいました。
さらに運動もしました。

この実験で、理論上は35.5kgほど体重が落ちる計算でしたが、実際に落ちた体重は16.8kgにとどまりました。
そして、減った体重は12カ月で元に戻りましたが、その後も体重は増え続け、結果的には実験する前の体重よりも重くなってしまったのです。

<参考文献>
J Nutr. 2005 Jun;135(6):1347-52.
They starved so that others be better fed: remembering Ancel Keys and the Minnesota experiment.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15930436

食事量を減らしても計算通りにはいかない

この米国の実験からわかったことは、食べる量を減らすとかえって太ってしまいかねないということです。
理屈で考えてみても、計算通りにいかないということは容易に想像ができるのです、

例えば、1日に摂取するカロリーを500kcal減らしたとします。
すると理論上は、1週間で約0.45kgの脂肪が落ちていく計算になります。
これを3~4年も続ければ、体重が0kgになってしまいます。
どう考えてもおかしいのです。

無理に食事制限するとリバウンドしやすくなる

つまり、人間の体はどこかの時点で、カロリー消費量を減らして、減少してしまった摂取カロリーとのバランスを自動的にとるようになっているのです。

摂取カロリーを減らしていくと、最初は、体脂肪はどんどんと落ちていきます。
なぜならば、体に必要なエネルギーを得るために、体にある余分に蓄積されている脂肪から先にエネルギー源として使われていくからです。

人間の体は、カロリー制限をしたときに、続けていると、摂取カロリーの減少に対応して、代謝活動を抑えてしまうのです。

意志の力ではどうにもできない無理な食事制限後のリバウンド

無理な食事制限を続けていると、代謝活動が低下してしまいます。
普通の食事量に戻しても、逆に体重が増えやすくなってしまうのです。

つまり、リバウンドしてしまうというのは、意志が弱いのでもなんでもなく、もともと体のしくみにより代謝活動が抑えられてしまっているために、無理な食事制限ダイエットの後はリバウンドしやすくなるのです。