いつものネーブルオレンジか、甘さたっぷり夏ミカンか | 賢脳トピックス

例えば、人間が選択するケースとして、A社の株を買おうか、B社の株を買おうか、どちらに投資するのか迷ったりする場合があります。

この時、もちろん両者を徹底的に比較して、相対評価に基づいた判断を下すと思います。

でも、物の価値は絶対的なものではなく常に状況によって変化します。また全く新しい未知のものだと、情報がないので相対的評価が難しい場合もあります。

状況によっては1万円札より1円玉のほうが価値がある場合がある

今目の前に、1万円札と1円玉が出され、どちらか一方をあげるよと言われたら、余程のあまのじゃくでもない限り、1万円札を選ぶと思います。

お金の絶対的価値で考えると、1万円札のほうが1円玉よりも価値があることは誰が見ても明らかです。

しかし、今砂漠のど真ん中にいて、ジュースが入った缶のプルトップが素手でこじ開けられなくて困っていたとします。

もう長い間水を飲んでいないので、是が非でも飲みたい。
そんな状況であれば、1万円札よりも1円玉のほうがはるかに価値があるということになります。
1円玉をテコにして、プルトップをこじ開け、水分を十分に補充することができるからです。

動物実験でも、1mLのジュースと10mLの水を置いた場合、猿は1mLのジュースを取りますが、喉が渇いた状態だと10mLの水を取ります。

相反する情報の収集と利用の中での選択

人間は、いろいろな局面で選択を迫られるとき、一方は自分がよく知っているもので、他方は全く知らないものというケースがよくあります。

例えば、ネーブルオレンジが好きでよく食べるが、夏ミカンは少しすっぱくてそれほど好きじゃないという人がいたとします。

スーパーに行くと、ネーブルオレンジの隣に、「甘くておいしい、甘さたっぷりの夏ミカン」と広告されていて、いつもより若干安くなっていたとします。

ネーブルオレンジなら、毎回食べていてその味をしっています。つまりネーブルオレンジの味の情報はしっかりとあるので、この場合は情報の利用ができます。

しかし、いつもと違う甘さたっぷりの夏ミカンは食べたことがないので、味が想像できません。つまり買って、情報を収集しないとわかりません。

そこで、ネーブルオレンジを買うと、いつもの味は保証されます。
一方で、甘さたっぷりの夏ミカンを買うと、もしかしたらネーブルオレンジよりもおいしいかもしれません。ただ、まずい可能性もあります。

わかりやすく言うと、情報の利用によりネーブルオレンジを買って安全の確保をするか、情報の収集もかねて未知の甘さたっぷりの夏ミカンを買ってリスクを負うかのせめぎあいになります。

情報の利用により安全を確保する時は、脳の眼窩前頭皮質という部分が働き、リスクを負って情報の収集をすると判断するときは脳の前頭極皮質が働きます。

情報の収集と利用のバランスが大切

安全パイのほうが確実だからといつも安全パイのほうばかり選んでいると、知らない間に世界が変わっていて、気がつけば別の方の選択をしておいたほうがよかったという場合もあります。
麻雀でも安全パイばかり捨てていれば、確かに振り込まないかもしれませんが、大きな役を上がったりすることもできません。

人間は、眼窩前頭皮質と前頭極皮質という相反する働きをする部位を発達させ、そのバランスをとることで生活をしているのです。

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