冠詞は、a 、an、the の3語ですが、冠詞があるのとないのでは微妙に意味が違ってきたり、英文を理解する上でも重要になってくる場合もあります。
前定後不の法則
『前定後不の法則』は、冠詞の使い方に関するルールになります。
英語の学習で難しい品詞といえば、前置詞で、前置詞を自由自在に使いこなせるようになれば、英語の上級者ともいえると思います。
その前置詞と比べても、「前置詞3年、冠詞8年」という人も言われるぐらい、本当に英語の冠詞を身につけマスターするのには、時間がかかりますし、それだけ冠詞は難しいとも言われています。
通常、英文は、旧情報⇒新情報といった流れになっていますので、定冠詞つきの名詞句(旧情報)が文の最初の方にきて、不定冠詞付きの名詞句(新情報)が後ろのほうにくる可能性が高いのですが、これを前定後不の法則といったりします。
冠詞の種類って本当に3種類
英語の冠詞は何種類あるのかというと、a 、an、the の3種類ということになるでしょう。
しかし、これは綴り上の話であり、文法上で分類すると、不定冠詞(a、an)と定冠詞(the)の2つに分けられます。
また発音から言うと、aとanは、弱形と強形、theは弱形と強形がある上に、母音の前の音の場合は発音が変わるので、全部で7種類の発音が存在します。
冠詞関連の用法については、文法家によって意見が分かれるところですが、不定冠詞に18,定冠詞に18の計36の用法があるという人もいます。
さらに無冠詞の用法が12種類あり、合計すると冠詞に関連する用法だけで48にも及びます。
だからこそ、冠詞のマスターは非常に難しいとも言われています。
冠詞のありなしで意味が違ってくる
冠詞なんて、意味をほとんどもたないし、あってもなくても英文を訳すには大して影響はないだろうと考えるのは間違いです。
Apples are cheapest in fall. (りんごというのは、秋に最も安くなるものです。)
Apples are the cheapest in fall. (りんごというものは、秋に最も安い果物です。)
この2つの文章の違いは、Cheapestの前に、theがついているかついていないかだけの違いです。
日本語訳を読んでみると、あまり変わらない感じだという人もいるかもしれませんが、ニュアンスが違ってきます。
1つめの冠詞がない文では、りんごが売られている時期を比べていて、他の果物と比べているのではありません。
したがって、果物の集合体を意識していないために、定冠詞のtheがつきません。
2つめのtheがついた分では、りんごと同種のもの、つまり他の果物を比べていることが明らかになっていて、最も安い場合の条件として、in fall がそえられているに過ぎないという形になっています。
最上級というと、the がつくものだと思っている人もいるかもしれませんが、つかない場合もあります。
通常は、最上級は「最も」ということを表すので、集合体を明らかにすると、その中で「最も・・・なもの」は限定されますので、theがつきます。
しかし、主語と同じ種類のモノの集合体や集合体が存在している場所がない場合は、主語に関する状況がいくつかあり、その状況の中では、「最も・・・」という文脈では、主語に類する集合体やその場所がないので、theがつかないのです。
わかりやすく、もう1つ例を出しておきます。
The lake is the deepest around here. (この湖はこのあたりでは最も深い湖です。)
The lake is deepest around here. (この湖はこのあたりが最も深い場所です。)