人はなぜ覚えたことを忘れるのか、人の脳の記憶容量はどのくらいか | 賢脳トピックス

試験のときに覚えたはずの内容を思い出せない、家へ帰る道を忘れてしまったといった具合に、いろいろなことを忘れてしまうと何かと不都合なことがあります。

誰しもが一度は、もし自分がAIのように一度見聞きしたことを完璧に覚えることができたら勉強も楽だし、どんなにいいだろうと思ったことがあるのではないでしょうか。
そうすれば、何度も何度も繰り返し勉強することもなければ、試験のときに覚えたことが出てこないといったこともありません。

ところが人間は覚えたことを忘れてしまいます。

人間の記憶容量ってどのぐらいなの?

人間はどうして覚えたことを忘れてしまうのだろう?ということを考える前に、そもそも人間ってどのぐらいのことを覚えられるのだろう、どのぐらいの記憶容量があるのだろうということについて考えたいと思います。

人間の記憶容量がどのぐらいあるのかについては、結論を先に言うと、記憶のための脳の正確な記憶容量は計算が難しく、そもそもメモリのサイズを測定する方法がわかりません。

しかし、次のようなことが言えます。

まずは、人間の脳は解剖学的に約10億個のニューロンで構成されています。
そしてそれぞれのニューロンは、他のニューロンと約1000の接続を形成して、1兆を超える接続になっています。

もし、それぞれのニューロンが単一のメモリの記憶としてしか働かなければ、それこそ何ギガバイトといった容量しかないかもしれません。
しかし、そうではなくニューロンは結合していることによって脳の記憶容量は約2.5ペタバイト(百万ギガバイト)近くに指数関数的に増えていきます。

もし人間の脳をデジタルビデオレコーダーに例えるならば、2.5ペタバイトの容量で300万時間のテレビ番組が録画できるほどの容量があるということになります。
300万時間ということは、1年は8760時間ですので、350年近く連続させて稼働しても大丈夫ということになります。

かなりの量ですね。

2010年に、Scientific Americanという科学雑誌に載せられた論文の中では次のようなことが述べられています。

Although there must be a physical limit to how many memories we can store, it is extremely large. We don’t have to worry about running out of space in our lifetime.
記憶できる記憶の数には物理的な限界がありますが、それは非常に大きく、私たちは生涯にわたって宇宙を使い切る心配はありません。

(参考:What Is the Memory Capacity of the Human Brain? Scientific American, May/June 2010. )

忘れることは悪いことなのか

さて、人間の記憶容量の話をしたところで、話しを元にもどしたいと思います。
人間はどうして覚えたことを忘れてしまうのだろうということです。

試験のときに覚えたはずの内容がでてこないというようなことを考えると、忘れるということは悪いことというイメージがどうしてもあります。

人間の記憶容量は、物理的な限界はありますが、その限界は非常に大きく、人間の一生において不足するということはないということです。
しかし、人間の脳をパソコンと同様に考えてみると、面白いことがわかります。

パソコンを使用していると、最初のうちはサクサクと動いていますが、いろいろなものを記憶させていくと、それを呼び出すのに時間がかかってくるようになります。

つまり多くのことを記憶させればさせるほど、その記憶した内容を取り出すのに時間がかかってしまうのです。

いろいろなことを知っていると、似たような事項を覚えていたばかりに、それが正確な記憶を邪魔をして間違えてしまったり、思い出しにくくなってしまうということはよくあることです。例えば、ディズニー作品に関することを思い出そうとしているときに、ジブリ作品のことが頭に浮かんできたら邪魔になるばかりか、混同してしまったりもします。

脳は大事なことに集中して、求めているものを思い浮かべるために、精度の高いスパムフィルターをかけて関係ないことは思い出さないようにしていると考えられています。

昨日食べた夕食のことを思い出すのに、何十年も前に食べた食事の内容をすべて覚えていたら、昨日食べた夕食の内容を思い出しにくくなったり、混同してしまったり、思い出すのに時間がかかってしまったりします。

そのために、脳は自然と不要と判断した情報を忘れていくようになっているのです。

記憶術・学習法、勉強法・記憶術に関しては、ホームページを作っているので参考にしてください。

速く覚えて、長く忘れない (記憶術・学習法、勉強法・記憶術)