思いやり珈琲の不思議 | 賢脳トピックス

珈琲の成分というと、ほとんどの人がまず思いつくのがカフェインだと思います。

カフェインは、脳の働きを活性化して、眠気覚ましやストレス解消に役立ち、胃液分泌を促し、利尿効果もあります。

珈琲の渋味成分といえば、カフェタンニンと呼ばれるタンニンで、珈琲の旨味を引き立ててくれています。

デートや商談は喫茶店でホットコーヒーを

デートや取引先の商談で、喫茶店に入ってホットコーヒーを注文なんていう、ごくありふれたシーン、しかし、もしかしたらデートや商談の成功率を上げる秘密が隠されていたのかもしれません。

アメリカのニューヨーク州にあるレンセラー工科大学のバロン博士の研究によると、炒った珈琲や焼いたパンの香りが漂っていると、他人に親切になるという結果が報告されています。

見知らぬ人が落としたペンを拾ったり、両替を快く引き受けたりする確率が高くなるそうです。

炒った珈琲豆のような心地よい香りをかぐと、それだけで相手に対して良い印象を抱くようになり、ポジティブな感情のまま「相手を手助けしたい」という心理に転じるのです。

これを応用すれば、相手を喫茶店に誘い、珈琲の良い香りが漂うホットコーヒーを注文すれば、心もホットに、幸せな気分で相手も親切に対応してくれる可能性がアップするかもしれません。

珈琲豆を炒る化学変化の魔法

珈琲を飲むことによって、眠気覚ましになったりストレス解消に役立ったりしますが、炒った珈琲豆の匂いを嗅いだだけで、心地よく感じます。

珈琲には、ジテルペンなどの香り成分が多く含まれていて、珈琲豆を焙煎する過程で化学反応が起きて、その香り成分は600種類にも増えると言われています。

同じ珈琲豆でも、焙煎によって化学反応の起き方が違ってくるので、風味も異なってくるのです。

深煎りにすると酸味が抑えられ苦味が強くなって香ばしくなり、浅炒りにすると酸味が強くなり苦味が抑えられます。

侮れない香りの力

香りの力といえば、アロマテラピーを連想する人も多いと思います。

話しが珈琲となると、その生理作用はどうしてもカフェインやタンニンといった飲んで胃の中に入る成分に注目が集まりがちです。

しかし、ジテルペンを中心とした香り成分も、バロン博士の研究のような効果がありました。

では、なぜそのようなことが起こるのかというと、人間の五感の中で、嗅覚つまり香りだけが、ダイレクトに脳の最も古い部位で情動やホルモン分泌を司っている大脳辺縁系に入るからです。

従って、香りを嗅いだ瞬間に、すぐに感情が反応し「いい香り」とか「嫌な臭い」となるわけです。

いい香りを嗅ぐと、嗅覚が刺激され、視床下部が働き、ホルモンが分泌され、リラックスしたりします。

大脳辺縁系に直接入る香りの力は、知性や理性を司る大脳新皮質の干渉を受けずに感情を左右します。

つまり、珈琲の良い香りを嗅ぐと、「いい香り」ということでリラックスホルモンが出て、他人にも優しくしようというモードになるのかもしれません。

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