外国語に対する日本の教育 | 賢脳トピックス

日本人のビジネス英語力に関して、Global nglish社が公表している Business English Index(BEI)と呼ばれる国際指標の調査結果によると、日本は下位のグループに位置しています。

TOEFLのスコアについてみても、日本はラオス、タジキスタン、アフガニスタンに次いでアジアでは下から4番目になっています。

英語習得にやっぱり日本人は不利

勤勉な日本人で、教育もきちんとされているはずなのに、なぜ英語が苦手なのでしょうか。

一つには、絶対的に不利な条件として働いているのが、日本語と英語の言語間距離です。

日本語と英語では、使う文字、発音の仕方、文の構造に至るまで、あらゆることが全く違います。

アメリカ国務省機関のFSI(Foreign Service Institute:外務職員局)が1985年に公表している英語を母語とする者にとっての各言語の習得難易度を三段階で分類した表があります。

それによると日本語は最も難易度が高いカテゴリー3に属していて、それどころか、同じカテゴリー3に属している中国語や韓国語などの中でも最も習得が難しいとされています。

逆に考えれば、それだけ英語と日本語の間に距離があるので、日本人が英語を習得する場合でも、欧州諸国の学習者よりもより時間がかかるということになります。

逆に、日本人にとっては、中国語や韓国語のほうが、英語より習得しやすい傾向があると言えます。

また、日本は一民族一国家で、街を歩いている人に声をかければほとんど日本語で返ってきて、英語で話す人はあまりいません。

特に英語を話さなくても困らないという環境から、英語学習への動機付けが弱くなっている面もあるかもしれません。

英語をアウトプットする機会が少ない

日本の受験などの英語テストでは、長文読解や文法問題、ヒアリング問題がほとんどで、読む・聞くといったインプットに重点が置かれています。

書く・話すといったアウトプットする機会が少ないため、どうしてもアウトプットが苦手になってしまうのです。

日本の英語教育に対する根本的な考え方

日本では、英語は受験や就職のために必要で、文系に進むにしても理系に進むにしても、英語だけは避けては通れない受験科目になっています。

国語や社会が苦手であれば理系に進むという手がありますし、数学や理科が嫌いなら文系に進むという手がありますが、英語ができないとどちらに進むにしろ不利になってしまいます。

また、英語は他の科目と違って、丸暗記したから急に成績が上がるというような科目でもなく、毎日に積み重ねが重要な科目です。

だからこそ、とりあえず英語だけには力を入れるという受験生も多いと思いますが、そもそも日本と海外では英語の学習に対しての考え方が根本的に違うのです。

日本では、英語を「学問」として捉えてしまい、数学や理科、社会と並ぶ受験のために必須の主要科目ととらえています。

しかも文系に進むにしろ理系に進むにしろ必要なので、しかたなく嫌だけど押しつけられて学習するという感覚です。

ところが、海外の諸外国では、英語は単なるツール、つまり道具という捉え方をしていて、スポーツや楽器を習得する要領でアプローチしています。

学問的な考え方をしていると、基礎知識を覚え、簡単な例題を少しやって、少ない労力で大きな効果をという勉強法になってしまい、必要な基礎知識は単語と文法だということで、単語帳で一生懸命何千もの英単語を覚え、基本的な英文法のルールを覚えます。

しかし、これでは、英語のスピードについていけなくなってしまうのです。

泳ぎ方の本をいくら読んでも泳げるようにならず、とりあえずプールに入って手足を動かすことが大切です。

それでトレーニングを繰り返して、自然と泳げるようになっていくものです。

日本では、英語を学問として捉え、数学や理科、社会を勉強するのと同列に捉えてしまい、それらの科目と同じようなパターンの勉強法をしているから、なかなか英語が上達しないのかもしれません。

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