日本人が英語を学習するときにはいろいろな障壁があります。
そもそも使われている文字自体、全然違います。
英語は26文字のアルファベット、これに対し日本語はひらがな・カタカナ・漢字と文字自体が全然違います。
さらに単語一つ一つの発音が違いますし、文の中での品詞の語順も全然違います。
日本人が英語を学習するときに壁となる多義語
そんな中、日本人が英語を学習するのを難しくしているのが、多義語です。
つまり、一つの英語に対して、対応する日本語が複数あるというものです。
例えば、英語で date という単語がでてきた場合、「日付」という意味もありますが、皆さまがおなじみの「デートの相手」という意味もあります。
これを、date = 日付 ということで覚えていると、文章の中で「デートの相手」という意味で使われていた場合、まったく意味が通じなくなってしまいます。
デートは、ある意味日本語にもなっていますので、推測して訳すことができるかもしれませんが、これが別の多義語だったらこうはいかないでしょう。
一語だけで、いろいろな意味がある Administration
英文でよく出てくる単語に、Administration があります。
これも受験やTOEICでは覚えておくべき単語でしょう。
administration では、次のような意味を覚えておく必要があるでしょう。
管理
運営
経営
行政
政権
当局
(大学などの)本部
投薬
「管理」と「運営」と「経営」あたりは、一般的に会社などを管理するという意味で近い意味もあるので、例えば「管理」を覚えておけば、だいたいのニュアンスは理解できると思います。
ところが、管理と単に日本語で訳を暗記して覚えていても、「行政」という言葉は思いつきません。
しかし、政治関連や役所関連の文書では、「行政」という意味でよく使われますし、「行政」という訳は覚えておくべき訳です。
政治関係で言うと、Administration には「政権」という意味もあります。
Abe administration と出てきたら、「安倍政権」という意味になります。
また可算名詞として使われる場合は、「経営」ではなく「経営者陣」という意味もあるほか、「(大学などの)本部」や「当局」という意味もあります。
さらに、医学・薬学関係の分野の論文などで、administration という単語が出てきたら、「投薬」という意味でとることがほとんどでしょう。
多義語は難しい、たくさんある訳語をすべて覚えてられるのか?
administration だけでも、いっぱい意味があって大変です。
ところが多義語は、administration だけではありません。
受験やTOEICのテストを受けるに際しても、何百語の単位の多義語を覚えておく必要があるでしょう。
多義語を覚えるコツとしては、単語のルーツをたどるというのが一つの方法です。
多義語は一見すると1つの単語に複数の意味が脈絡なく、いっぱいくっついているように見えるかもしれません。
しかし、実際にはそのルーツをたどると、1つの原点があり、そこからいろいろな方向へ枝分かれしているだけということが少なくありません。
administration を語源から考えていくと、語尾のtion は動詞の名詞系、そして接頭語であるad-は、toと同じで、「~に」という意味があります。
そして、中核となる部分の「ministrate」のルーツは、ラテン語の「仕えるからきています。」
miniは、ミニサイズのミニで、小さいという意味ですが、これは小さくかしこまって仕えるということに通じます。
minister(大臣)という言葉は、mini(小さい)+ster(人)、小さい人で、家来・召使という意味で、要するに国民様に使える召使たるもの、それが大臣であるということになります。
(日本の政治家は威張り腐っていますが・・・英語の語源の意味を少しは理解してもらいたいものです。)
administrateも、会社に仕える、組織に仕える、国に仕えるというように、「~に仕える」という原点から、国に仕えるから行政、政権、会社に仕えるから管理・経営、組織に仕えるから行政・当局ということでつながっているのです。