英語の時制を考えるときに、「点」と「線」は重要な概念になってきます。
点的動詞と線的動詞
動詞は英文において、五文型どの文型にも登場する骨格てき存在ですが、動詞は大きくわけて、瞬間行為を表す動詞と、一般動作を表す動詞があります。
瞬間的行為を表す動詞は、「点的動詞」と呼ばれ、by one(1時までに)とか、at one (1時に)とか、in one hour(1時間後に)というような言葉とともに用いられたりします。
<点的動詞の例文>
She arrived at one o'clock, as arranged. (彼女は予定通り一時に到着した)
一方、一般動作動詞、状態動詞では、その状態が続く、つまり線のようなイメージなので「線的動詞」と呼ばれ、until one(1時まで)や for one hour(1時間ずっと)というような言葉とともに用いられたりします。
<線的動詞の例文>
I have known him for 20 years. (彼と知り合ってかれこれ20年になる)
未来の「点」と「線」
英語の未来形は、will や be going to + 動詞の原形で表されます。
be 動詞は、ずっと~である状態であった、~である状態が続くという意味からすると、「線的動詞」のイメージがありますが、未来形においては、「点的動詞」となります。
I will be back in ten minutes. (私は10分後に戻ってきます)
つまり、10分後という未来の一点について述べていることになるので、be動詞も「点的動詞」になっているのです。
難しいのが be動詞よりも、do動詞です。
なぜならば、曖昧で2つの意味にとれる場合があるからです。
例えば、
I will do it in ten minutes.
という英文ですが、「私は10分後にそれをしはじめます。」という意味と「私は10分後にそれをし終わります。」という両方の意味にとれてしまうのです。
doが線的動詞と点的動詞の両方にまたがっているから、このようなことが起こってしまうのです。
つまり、doは一般動作動詞としてその動作の始まりを意味しますが、点的動詞としてはその動作の終わりを意味するからです。
曖昧さの解消
点的動詞か、線的動詞か、曖昧で2つの意味にとれてしまう場合、その解消法として、未来完了形があります。
未来完了形は、「will have 動詞の過去分詞」という形になります。
次のニュアンスの違いを確認してみてください。
I will write the letter when you have come back.
あなたがちょうど戻ってきたら、その手紙を書き始めます。(点的)
I will have written the letter when you come back.
あなたが戻ってきたら、すでにその手紙を書いてしまっているでしょう。
I will have written the letter when you have come back.
あなたがちょうど戻ってきたら、既にその手紙を書いてしまっているでしょう。
I will have written the letter by the time you come back.
あなたが戻ってくるころには、既にその手紙を書いてしまっているでしょう。