認知症を防ぐには、週3回、40分早足で歩け | 賢脳トピックス

団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症という時代がやってくるということで大きな社会問題となっています。

認知症と海馬

認知症の原因は、βアミロイドタンパクといわれる異常なタンパク質が脳にたまって神経細胞が死んでしまい、それにより脳が萎縮して縮んでしまうことで、記憶を担っている海馬という部分から萎縮が始まりだんだんと脳全体に広がっていくといわれています。

海馬の萎縮は、MRIで確認することができます。

海馬の萎縮を防いだ運動とは

海馬の萎縮を防ぐのはどういった運動なのだろうか。
フィットネスバイクを猛スピードで汗だらだらになって漕ぐような運動なのだろうか。
ランニングで過酷なインターバル・トレーニングで、激しく運動しては休みを繰り返すようなことをするのだろうか。
心拍数が上がらない軽いストレッチなのだろうか。

残念ながらいずれも違います。

海馬の萎縮を防ぐのは、心拍数が上がる程度の持久力系のトレーニングを行うことです。
つまり、具体的に言うと、週に3回、40分ほど早足で歩くという程度でいいのです。

週に数回ほど、早足で歩いたり、走ったりするだけで、脳の老化が食い止められ、むしろ若返り記憶力も強化されるのです。

アメリカで行われた実験

アメリカの研究チームは、120品を対象に1年の間隔をあけて2回、RMIで脳をスキャンして海馬の大きさを測るというような実験をしています。

実験に協力してくれた人を2つのグループに分け、一方には心拍数が増えないストレッチなどの軽いエクササイズを、そしてもう一方には、心拍数が上がる持久力系のトレーニングをしてもらいました。

健康状態でいうと、1年が経過したとき、持久力系のトレーニングをしていたグループの人たちは、軽いエクササイズをしていたグループの人に比べて健康状態が改善していました。

そして、海馬について調べたところ、軽いエクササイズを行っていたグループの人は、1.4%萎縮していました。
海馬は1年で約1%縮むといわれています。

しかし、持久力系のトレーニングを行っていたグループの人たちの海馬は、まったく縮んでいなかったどころか、成長して2%ほど大きくなっていたのです。

なぜ海馬が大きくなったのか

なぜ海馬が大きくなったのかというと、BDNF(脳由来神経栄養因子)が関係しているのではないかと考えられています。

BDNFは、中枢神経系や末梢神経系の一部のニューロンに作用して、今あるニューロンが維持されるようにサポートする働きがあり、さらにニューロンの成長を促し、新しいニューロンやシナプスに分化することを促すと言われています。

このBDNFが脳細胞同士のつながりを強化して、記憶力を強化し、海馬の成長を促したと考えられています。

実際に、持久力系のトレーニングを行っていた人をみてみるとBDNFの量が増えていて、その量が増えている人ほど海馬が大きくなっていたのです。

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