高齢になってもワーキングメモリーが衰えない人 | 賢脳トピックス

頭の良し悪しを考えた場合に、ワーキングメモリーという言葉がキーワードになったりします。
日常生活をそつなく、アクティブに過ごすには、ワーキングメモリーはとても重要な役割を果たしています。

研究では頭の良し悪しに関係がある遺伝子はある

『ワーキングメモリー』をもう少しわかりやすい日本語で言うと、『作業記憶』と言えるでしょう。

『記憶』というと、受験勉強や資格試験などでいろいろなことを暗記するといったものを連想する人も多いと思いますが、そうした長期記憶とは異なり、この『ワーキングメモリー』は、何か作業を行っている間、イチイ的に物事を記憶しておいて、その都度必要な情報を引き出して処理するための記憶になります。

例えば、仕事にしろ家事にしろ、いろいろ場面でこのワーキングメモリーは使われていて、例えば、計算や買い物をするときなどに使われています。

買い物の時は、何を買うのか、何を既に買ったのかを一時的に記憶して、その覚えた記憶を引き出して決断し、行動しています。

計算のときも、途中の計算結果、暗算の途中経過などを一時的に記憶して、次の計算作業をしたりしています。

日常生活の中でのワーキングメモリー

例えば、目の前に自動販売機があり、そこで缶コーヒーを買うという、日常生活の中でもごくありふれた簡単な動作を例にとっても、ワーキングメモリーがいかに大切かがわかります。

まずは、自動販売機というものがどのようなものであるのかを過去の記憶の中で覚えていて、その記憶に基づいて行動しているのです。

そして、お金はお財布に入れ、それはズボンのポケットの中に入っているという記憶がなければ、缶コーヒーを買うことができません。

そして、財布をみて、その瞬間に小銭はどのぐらいあるのか、どの小銭を入れたらいいのか、そしてこの缶コーヒーを買った場合、いくらおつりが出てくるのかというようなことを瞬時に判断して自動販売機のボタンを押します。

このように、ワーキングメモリーは、私たちの日常には欠かせない能力なのです。

高齢になってもワーキングメモリーが衰えにくい遺伝子

一般に、歳を重ねるごとに記憶力や判断のスピードが落ちてきます。

昔はすぐに反応できたのに、ちょっとした作業でも戸惑ってしまうと言うような経験をしている方も多いと思います。

実際に、高齢になれば、若い人に比べて脳の認知的な処理速度は遅くなると言われています。

経験が豊富な分、高齢の人は若い人に比べて余分なネットワークを動かしているということも明らかにされていますが、どうして高齢になると記憶力や判断力が衰えるのかについては、まだそのメカニズムは詳細にはわかっていません。
ところが、高齢になってもワーキングメモリーが衰えにくい人もいるようで、アメリカのケンタッキー大学では面白い論文を発表しています。

高齢な高齢者を対象に、GRIN2B遺伝子rs3764030というSNPについて調査したところ、「AA」の遺伝子型または「AG」の遺伝子型を持つ人のほうが、「GG」の遺伝子型を持つ人よりも、加齢によるワーキングメモリーの衰えが少ない傾向にあるという結果が得られたのです。

こうした遺伝子の型の違いもあるのかもしれません。

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