『リハビリテーション』とは、「再び適した状態にする」という意味になります。
リハビリテーションの段階と介護保険制度
リハビリテーションは、その段階によって、急性期、回復期、維持期の3段階に分けることができます。
急性期のリハビリテーションでは、ベッドの上での体位を変えたり、関節可動域の訓練などの機能訓練が行われます。
回復期のリハビリテーションでは、日常生活における基本動作やADLの訓練(日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作である起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容などの訓練)などが行われます。
維持期のリハビリテーションは、在宅での自立生活を支援するために行われます。ADLの維持や改善、QOLの向上などが目標になります。
介護保険において行われるのは、維持的リハビリテーションになります。
また、機能的な面からみると、予防的リハビリテーション、治療的リハビリテーション、維持的リハビリテーションに分けることができます。
予防的リハビリテーションは、予防的に行われるもので、治療的リハビリテーションは、急性期や回復期の治療段階で行われます。
そして、維持的リハビリテーションは、維持期のものに対して行われます。
障害の度合いを考えたリハビリテーション
高齢者のリハビリテーションにおいても、その障害の度合いによってリハビリテーションの内容は変わってきます。
障害高齢者の日常生活自立度、つまり寝たきり度においての判定基準があるのでご紹介します。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)
生活自立ができているランクJ、準寝たきり状態であるランクA、寝たきり状態で家の中を車いすで移動することはできるランクB、寝たきりでベッドでの生活となっているランクCに分けることができます。
ランクJの人には、趣味やサークルなどへの参加を勧めて、人との交流を深めながら活動的な生活が送れるような支援が行われます。
ランクAの人には、移動しやすい生活環境を整備することで、外出機会を確保してリハビリテーションの実施が行われます。
ランクBの人には、下半身の筋力維持・工場や、家の中での歩行レベルに向けた訓練などが行われます。
ランクCの人には、健康状態の維持や合併症の予防、介護環境の整備などが検討されます。
廃用症候群とは
リハビリテーションを考えるとき『廃用症候群』という言葉があります。
『廃用症候群』というと、文字だけからすると、なんか産業廃棄物みたいなものをイメージする人もいるかもしれませんが、 『廃用症候群』とは必要以上に安静にしていたり、活動性を低下させたことによって身体に起こってくる様々な状態のことを言います。
筋肉を使わないことによって筋肉がやせおとってしまう『筋萎縮』 、寝たきりで歩かなくなることで骨がもろくなってしまう『骨萎縮』、関節をあまり動かさなくなったことによって関節の動きが悪くなってしまう『関節拘縮』、寝たきりでおこってくるいわゆる床ずれと言われる『褥瘡』などが、廃用症候群になります。
同じ姿勢を長時間とりおつづけることによって、拘縮や褥瘡につながっていってしまいます。
健常人でも夜寝ているとき寝返りをうつのと同じで、寝たきりであっても、できれば原則2時間に1回は体位を変えることが望ましいのです。