えええ、ワイロになる薬ってどういうこと?
ワイロにお金の代わりに薬を贈るってこと? それって販売業の許可もってないから薬機法違反じゃない?
それとも製薬利権がからんだ新薬かなんかの話?
いったい、どんな薬がワイロになって、それってどういうことなんだろうか。
ワイロになる薬ってどんな薬?
結論を先に言ってしまうと、ワイロになる薬とは、『鼻薬』のことなのです。
日本語には、「鼻薬を嗅がせる」という表現がありますが、これが非常に面白い意味を持つのです。
鼻の薬といえば、点鼻薬か何かを連想し、花粉症対策で鼻の通りをよくするものを思い浮かべる人が多いと思います。
鼻薬を嗅がせるとなると、ミントかなんかの成分が入ったものを嗅がせることで、鼻の通りが良くなるようなイメージが確かにあります。
媚薬ならまだしも、鼻薬を嗅がせてどしてワイロになるんだ? と疑問に思う人も多いかと思います。
なぜ鼻薬を嗅がせるとワイロを送ることになるのか
日本語とは面白いもので、「鼻薬を嗅がせる」を国語辞典で引くと、事実『ワイロを贈る、賄賂を使う』というような意味がでてきます。
『鼻薬をきかせる』とも言い、いわゆる『袖の下』と同じような意味になります。
使い方としては、こんな感じで使われます。
「君、あの契約は何が何でも、わが社に発注してもらわなければいかんのだよ。わかっとるかね?」
「はい、ご安心くださいませ。大丈夫です。発注担当の部長には、鼻薬を嗅がせてありますから。」
つまり、ストレートに『ワイロ』なんて過激な言葉は避けたいところ、賄賂の隠語として『鼻薬』が使われるのです。
『鼻薬』には、贈り物、心づけといった意味の他に、子供をなだめるためのお菓子の意味があります。
『鼻薬』は、もともとは子供が鼻を鳴らして泣くときに、子供をなだめすかすために与える菓子のことだったようで、そこから相手の気を引いて手なずけるための金銭の意味が出てきたのです。
そして、いつのまにか『鼻薬を嗅がせる』が「賄賂を贈る」という意味で使われるようになったのです。
意味を知らない人が聞くと、「えっ? なんで鼻薬を嗅がせたことで発注が大丈夫なんだよ・・・」となってしまいそうです。
薬籠中の物
『薬』を使った言葉をもう一つ。
『薬籠中の物』と言う言葉です。
「薬籠(やくろう)」とは、ずばり薬箱のことです。薬籠中の物というと、薬箱の中に入っている物となります。
それなら、薬じゃん!となるわけで、それがどういう意味?となります。
実は、『薬籠中の物』は、自分の思うままにできる人や物の喩えであったり、すっかり身につけた知識や技術の喩えとして使われます。
なぜ、そういう意味になるのかというと、薬箱の薬というのは、いつでも自由に使えるものの代表です。
そういったことから、自分の思うままにできる人や物、あるいはすっかり身につけた知識や技術に対して、薬籠中の物という表現がされるのです。
「今度、チームでゲームをしようってこといなったんだけど、私たちのチームに参加してもらえませんか?」
「おお、そのゲームの攻略法なら、僕の薬籠中の物だから、ぜったい勝ちますよ」
とこんなふうな使い方がされます。