森友問題や加計学園など、政治家ですら身びいきで忖度を図ったとされるような世の中。
しかし、人間には、どうしても「ひいき」をするという習性があります。
味方か敵か、内集団・外集団
心理学的には、自分が所属する集団のことを『内集団』、自分が所属しない他者と感じられる集団を『外集団』と言います。
サラリーマンで言うと、自分の会社や働いている部署が内集団、競合他社や他部署の人たちが外集団ということになります。
そして、人間は内集団を味方、外集団を敵というような感情を持ちやすいと言われています。
会社でライバル会社を強く意識させたりするのは、そのことで社内の結束を図るという大きな目的があるのです。
また自分が所属している集団について「良い、優れている」と思いたがるというのも人間心理の中にあります。
身びいきの評価
人間が、身びいきの評価をするのには、内集団をより高く、外集団をより低く評価するということを無意識のうちにやってしまう傾向があるのです。
例えば、同じ人物がいたとしても、その人を内集団と意識すればいい人になるし、外集団だと思えば、要注意人物を思ったり、評価が変わってきたりします。
同じ趣味をもっていたり、同じ大学出身だったりすると、それだけで相手に親近感を覚えるというのも、この内集団の心理が働いているからといえるでしょう。
心理学者が行った、面白い集団に関する実験
アメリカの社会心理学者であるシェリフが少年達を使った行ったサマーキャンプ実験という有名な実験があるのでご紹介します。
1.まず少年達を2つのグループに分けて、キャンプ場で別々に生活をさせます。
これで何が起こったかというと、集団生活によって、グループの各自に役割が生まれることによって、仲間意識が高まりました。
2.両方のグループを引き合わせて、綱引きや野球ゲームなどのゲームで競わせました。
すると、競争的なゲームによって、相手グループへの敵対感情が高まり、グループ内での結束も強まりました。
3.映画や食事など、両グループで一緒に楽しむ機会を設けました。
すると、いっしょに楽しむ機会だったにもかかわらず、逆に対立が激化してしまいました。
4.設備の不具合に対応するなど、両グループが協力すべき課題を与えました。
すると、両グループが協力することで、敵対感情は消えて友好的になりました。
まとめ
このことから、人は自分が属している集団に対して仲間意識をもち、敵対する集団があると、団結力が増します。
敵対することで集団同士での摩擦が生じた場合は、共通の課題を持つことによってその摩擦は解消されます。