『アイデンティティ(identity)』は、和訳すると「同一性」というような意味になりますが、心理学や社会学では、一貫した自己・自我の意識を『アイデンティティ』と呼んでいます。
個人的アイデンティティとは
『個人的アイデンティティ』とは、「考えが前向き」とか「おしゃべり好き」といった内的特徴から捉えた自己認識になります。
「私は~思います」「私は~考えます」というように、あくまでも自己責任の範囲内で言葉を発しようとする場合は、個人的アイデンティティから出ています。
個人的アイデンティティとは、その人個人個人の自分なりの価値観により、自己責任において判断し、自己決定するような自己認識になります。
社会的アイデンティティとは
人間は社会的動物で、社会を生きていく中でさまざまな共通店を見出して、仲間意識を作っていきます。
自己紹介などで、「出身大学は〇〇大学で・・・」とか、「私は株式会社〇〇の営業部に勤務しておりまして・・・」などと自分の所属を話したりしますが、これは、自分が所属している集団や社会的カテゴリーから捉えた自己認識になり、『社会的アイデンティティ』ということになります。
年齢や、男性・女性、職種・肩書き・立場・学歴・資格、国籍といったものも、社会的アイデンティティで、その集団が評価されることにより、そこに所属している自分の自尊心も満たされるのです。
つまり、社会的アイデンティティには、自分が所属する集団のメンバーであることそのものを評価したいという気持ちがあり、自分が所属する集団がより良い評価を得て欲しいと望むのです。
ニッポン! チャチャチャ!も社会的アイデンティティ
国際的なスポーツ大会などがあると、日本人は日本の選手を『ニッポン! チャチャチャ!』というような形で応援し、日本人選手に素晴らしい成績を残してもらいたいと願います。
これなども、社会的アイデンティティ、つまり自分が属する国籍というグループのメンバーが活躍することで、自分が所属する国籍である日本が、より評価されるようにと願うということからきています。
所属する集団が認められていなかったら、人間はどう行動するのか
もし、あなたが会社に勤めていれば、社会的アイデンティティの理論からいくと、その会社が世間に評価されていると嬉しいものです。
しかし、その会社があまり評価されていなかったとするとどうでしょうか。
そういうとき、人間はいくつかの選択肢があるのです。
1つ目は、自分はこんな評価されない集団のメンバーでいちゃいけない。よし、自分にふさわしい、もっと評価されている会社に転職しようということで行動を起こします。
2つ目は、よしだったら自分で努力して、この会社をもっと評価される会社に変えてやろうじゃないかと奮闘努力をはじめます。
3つ目は、努力しても変わらないし、かといって転職もそうそうできないしとなると、「他にもっとひどいところもあるよね」というよういん、自分の属する集団よりもさらに下のものと比較をしていくのです。