ビジネスのコミュニケーションの中でも、難しいのが謝るときや怒るときです。
どうしても相手が気になり、気が重くなってしまうのもいたしかたありません。
謝り方は大事
謝れるときにきちんと謝れるのが大人ですが、謝るときは、相手が怒っていたりする場合もあり、いろいろと大変です。
相手の怒りをしずめたり、相手の顔を立てたり、謝る時というのは非常に難しいものです。
特に、その相手が社内とかではなく、取引先や顧客ともなれば、どんな人で多少なりとも気が重くなったりするものです。
よく使われる常套句が、『お詫びの言葉もございません。』というフレーズです。
もちろん、なんだそのまま字面どおり、お詫びの言葉もないのかというわけではなく、「お詫びの言葉もございません!というお詫びの言葉です。」ということになります。
こちら側の落ち度で、取引先に多大な迷惑をかけたり、怒らせてしまったとき、強い謝罪の気持ちを表しています。
中には、「本当に申し訳ありません。誠にお詫びの言葉もございません。」と何度も繰り返す人もいます。
理屈で考える人は、これは本当に申し訳ないと謝っているんだから、お詫びの言葉もございませんというのは矛盾していておかしいんじゃないかと思うかもしれませんが、謝るにはそんな理屈はいりません。
誠心誠意謝る気持ちを伝えるのであって、そんな言葉の矛盾を気にすることはまったくありません。
謝るときは、やはり直接会ってきちんと謝るべきなんだろうけどという場合は、メールにて先にどこに原因があったのかを報告しつつ、あらためて直接お詫びに伺いたい旨を伝えるというやり方もあります。
「メールにて恐縮ですが、取り急ぎお詫びとご連絡を申し上げます。」とメールを入れておくというのも一つの方法です。
これに関しては、相手にもよるので、注意が必要です。
なんだメールで済まそうとしてるのか?と思ってしまう人、逆にわざわざ愛に来られても面倒で時間の無駄になるから迷惑だと思う相手もいます。
会って謝らなければということにこだわりすぎて、かえって相手が迷惑している場合もあるので注意が必要です。
叱る難しさ
最近では、部下や後輩を注意したり叱ると、すぐに「パワハラだ」などとレッテルを貼られてしまったりもします。
部下や後輩がミスしたときに、しっかり叱ることも大切です。
例えば、頼んでおいた仕事が期限が切れて翌日になっても提出されず、報告すらない場合、進行状況を確かめなければならないことがあると思います。
そんなとき、ストレートに「あれ、どうなってるんだ! もう提出期限も切れているぞ!」などと言ってしまうと、逆に正直に言ってくれない可能性もあります。
そんな時に便利な枕詞が「責めるわけじゃないんだけど・・・」です。
最初に一言付け加えることで、正直に報告しやすくなるとともに、本音としては実は責めたいところなんだよということをやんわりと伝えることができます。
ここのところ凡ミスが多い部下などに対しては、「どうしたんだ、キミらしくないね。」という言葉がおススメです。
何か悩み事があるかもしれませんし、こういうことで日頃高く評価していることも匂わすこともできます。
ストレートに「何をしてるんだ」みたいな言い方をしてしまうと、逆にムキになって反論されてりする可能性もあります。
言い方次第で印象が変わる言葉のマジック
ダサいとか、年寄りくさいとか、優柔不断だとか、頑固だとか言われて、気持ちいい人はそうはいないでしょう。
社員どうしの会話の中でも、こんなことを言っていると、どこかで本人に伝わってしまい、気まずい雰囲気にだってなりかねません。
そんなとき、言い方を変えればいいのです。
ダサいではなく素朴、年寄りくさいではなく大人の風格が漂う、優柔不断じゃなくて慎重派、頑固じゃなくて意志が強いといったように言い換えるだけど、不思議と褒められているような気にすらなってくるものです。
例えば、「あの課長って部下にナメられてますよね」なんて会話をしていて、たまたま近くでそれが本人の耳に入ってしまうことだってあるかもしれません。
いくら部下にナメられてる気が弱い課長だったとしても、そんなことを聞いたら、正面切っては怒ったりクレームをつけることはないでしょうが、内心はショックを受けたりするでしょうし、あなたのことをそういう人間だと評価してしまいます。
社内での井戸端会議でも、どこで誰が聞いているかわかりません。
内心は部下にナメられてるなと思っていても、「あの課長は部下との距離が近いから」と視点を変えた言い方をするのが無難です。
悪口をストレートにいっても誰も徳しませんし、言い方を変えることによって関係が円滑にいくだけでなく、相手の短所を長所としてとらえることができるようになります。