薬剤師は、患者がいかに処方されたとおりに薬を飲んでもらうようにするかということも大切な業務の一つになっています。
無責任で一方的側面しか記載しない無責任な雑誌記事
ところが、最近では、週刊誌の中にも『こんな薬は危ない』とか『こんな薬は飲むな』とか『飲んではいけない薬ベスト50』など、薬の悪い面ばかりを協調している無責任な記事もみかけます。
薬の知識もロクにない記者が、ただ薬の副作用面、リスク面だけをやたらに強調しまくっている部分もあります。
医療の専門家である医師、だれよりも患者の体をみているかかりつけ医が患者のためをと思い処方している薬に対し、危険だから飲むなともとれる無責任な記事は、患者の薬服用のコンプライアンスを下げる(患者が必要な薬を飲まなくなる)というリスクもきちんと考えて記事にすべきなのです。
もちろん、薬を飲まないほうが良い場合もありますし、薬漬け医療というのも大問題であることは確かです。
自然治癒する風邪なども、二次感染を防ぐ意味での抗生物質とか、症状を抑える風邪薬を飲むケースもありますが、つらい症状を我慢しなければなりませんが、普通の風邪であれば薬など飲む必要もないということになります。
薬を飲まなくても、自然治癒力で自然と治っていくのですから。
確かに、その薬が本当に適切かどうかという問題はありますし、薬を飲んだから副作用が起こる可能性もあります。
こんなとき、薬剤師はその薬に対するリスクをきちんと説明して上で、その薬を飲む必要性もしっかりと説明していかなければなりません。
副作用への怖さから、薬を飲まない患者
患者の中には、きちんと薬剤師から言われたとおり薬を飲まないノンコンプライアンスとなる患者もいます。こうした場合、薬剤師の対応一つで、アドヒアランスを向上させることができます。
「お待たせいたしました。こちらがお薬の説明書になります。」といって薬の情報提供書を渡すと、その中の副作用の項目を見て、「なによこれ、こんな副作用がでるならいらないわ!」となったりします。
こんなとき、「副作用が起きることは稀ですから」とか「副作用は皆さんに起こるということではありませんから。」などと説明しても、「そんなこといったって、私に起こらない保証でもあるの!」ということになってしまったりします。
副作用を恐れて薬を飲まない患者に薬剤師はどう対応すれば良いのか
「副作用が怖いと強く思われていらっしゃるようですね。よろしければそのお気持ちをお話していただけますでしょうか。」とその気持ちを聞いてあげることが良いかと思われます。
なぜならば、患者はもしかしたら過去に副作用でひどい目に会い、その体験がフラッシュバックしているかもしれません。
共感的繰り返し
前述の例だと、「副作用が怖いと強く思われていらっしゃるようですね。」と言っている部分が、共感的繰り返し(Empathic Reflection)になります。
共感的繰り返し(Empathic Reflection)は、話の重要なポイントやキーワードを繰り返して確認をとることです。つまり相手の感情に対して共感してあげることから始めることで、相手はわかってもらえたというふうに思うようになり、安心して、もっと話したくなったりします。患者から多くを聞き出すというのも薬剤師の大きな役目ですが、共感的繰り返しはそのためにも必要なものです。また患者自身も自分の感情や思いに気づくようになったりします。
感情の明確化
前述の例だと、「よろしければそのお気持ちをお話していただけますでしょうか。」と言っている部分が、感情の明確化(Clarification of Emothions)になります。
感情の明確化(Clarification of Emothions)は、相手の本音をひきだす際に、相手の気持ちや感情を扉にして掘り下げる方法です。
患者の訴えに対して、明確な答えで即答できない場合は、無理に答えを探すのではなく、質問をして患者の気持ちや背景を知ることも大切です。