微分・積分・いい気分 | 薬剤師トピックス

確かに日本の高校教育は、主な目的が大学受験になってしまっていて、微分や積分の意味も分からず、ただこうした計算問題はこの例題と同じように解けばいいんだと公式や例題だけを暗記して、その手順を叩きこむというような勉強をしてきました。

受験と実社会では違う微分・積分に求められるもの

はっきりいって、微分とはどういうものなのか、なぜ積分を習うのか、実生活とどう関係があるのかなんて知っていても点数になりませんし、そういう前提は全く無視して、ひたすら計算問題を解く方法や例題の解法の暗記に時間を費やします。

微分・積分といったって、今やコンピュータの時代、微分や積分の計算なんてコンピュータに任せておけばいいわけだしと思う人もいると思います。

確かにそうですが、だいたいのイメージをもっておくことは大切だし、それがあることで応用が利きます。

実社会においては、計算はコンピュータがやってくれるので、計算よりも本質的な意味を理解することが大切になってきます。

受験生は、微分・積分の公式をしっかり頭に入れ、計算問題を素早くできるように訓練することが大切になってくる一方、実社会では計算はコンピュータがやってくれるので、微分・積分の本質、意味を理解することが大事になってきます。

実社会での微分

微分とはどういうものなのか、積分ならなんとなくイメージつくけど、微分はイメージできないという人も結構いるかもしれません。

確かに微分を実社会において理解・イメージするための事例は少ないように思います。

一番イメージしやすいのが、自動車に乗っているときのスピードメーターです。

A地点からB地点まで自動車を走らせた場合、横軸に時間、縦軸に走行距離を取ると、線グラフが作れると思います。

ある特定の瞬間の時間におけるグラフの線の傾き、つまりある時刻における自動車の速度が微分になります。

微分の計算は、走行した時間と距離との関係から、スピードメータの速度を計算するのが微分ということになります。

実社会での積分

薬剤師であれば、積分といえばすぐにイメージしやすいのがAUC(薬物血中濃度時間曲線下面積)ではないかと思います。

つまり、薬物血中濃度の時間経過を表したグラフで描かれる曲線(薬物血中濃度-時間曲線)と、横軸(時間軸)によって囲まれた部分の面積で、体内に取り込まれた薬の量を示す指標になるわけです。

このように、高校の数学では計算方法が簡単なので微分を習ってから積分にうつっていきますが、実社会の中では、その本質や意味を理解しやすいのは、微分よりもむしろ積分といえるかもしれません。

先ほどの微分のところで上げた自動車の時間と走行距離と速度の関係だと、時間ごとの速度の和の積み重ねから、最終的な走行距離を計算していくのが積分になります。

より細かく、時間ごとの速度を計算し、和を積み重ねいくことで、時間と速度からその走行距離をより正確に計算することができるようになります。

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