心理学の研究法には、実験法、調査法、観察法、検査法、面接法の5つがあり、研究の目的、研究の対象によって適切に使い分けられています。
このうち、実験法、観察法、面接法について解説していきます。
実験法
『実験法』は、調べたい現象の因果関係を検討したい時に用いられます。
原因となるのが [独立変数]、結果となるのが [従属変数]で、独立変数以外に従属変数に影響を与えるものを「剰余変数」あるいは「外的変数」と呼びます。
実際の実験では、[ランダム化比較実験](Randomized Controlled Trial:RCT)による実験計画が用いられます。
やり方としては、例えば新しい指導法の効果を調べるために対象者を、新しい指導法を行う群(実験群)と、行わない群(あるいは比較するため従来の指導法を行う群)(統制群)にランダムに割り当てたりします。
同じ対象者が繰り返し実験に参加する場合は「被験者内計画」、1人の参加者はいずれかの条件のみに参加する場合は「被験者間計画」と言われます。
独立変数とする操作のことを「要因」といい、1つの要因の条件の数を「水準」といいます。
要因は複数設定される場合、1つの要因の効果を主効果といい、AとBの2要因があるとして、Aが従城変数に及ぼす影響がBによって異なる場合・交互作用といいます。
観察法
『観察法』は、、「自然的観察法」と「実験的観察法」とがあります。
「実験的観察法」は、実験法の一種として取り扱われることがあり、普通「観察法」といえば主に「自然的観察法」を指すことが多くなっています。
多くの自然的観察法は組織的な観察を行うもので、観察対象者と関わりながら観察する「参与観察法」と、ビデオなどで間接的に観察する「非参与観察法」に分けられます。
観察形式は、一定時間に起こった行動をある時間単位ごとに抽出する「時問見本法」、研究者が関心をもつ場面や率象に焦点を当ててデータを抽出する「場面見本法」や「事象見本法」などがあり、特定の個人の日常生活を長期に記録する「日誌法]もあります。
観察記録の方法としては、「行動目録法(チェックリスト法)」と呼ばれ、その場面で起こりそうな行動カテゴリーを設定して、行動生起数をカウントする方法や、「評定尺度法」といって、行動の強度や印象などを評定尺度で記録する方法、「行動描写法」といって、全ての行動を時間的な流れに従って自由記述する方法などがあります。
面接法
面接法には、研究目的で行われろ調査的面接法と心理的支援を目的に行われを臨床的面接法の2種類があります。面接の形式は「構造化面接」・「半構造化面接」・「非構造化面接」の3つが適宜使い分けられます。
「構造化面接」は、事前に全て質問内容を決めておき、対象者に細かく回答を求めていきます。
「半構造化面接」は、いくつかおおまかな質問のみ決めておき、質問の枠の中で対象者の語りに任せていきます。
「非構造化面接」は、事前の質問はなく、全てを面接者と対象者の語りと相互作用に任せていきます。