調剤過誤防止とハインリッヒの法則 | 薬剤師トピックス

薬剤師薬の専門家として、薬に関するリスクマネージャーとしての役割があります。リスクということを常に考えていかなければなりません。

次から次へと開発される新薬、さらにはジェネリック医薬品の使用、在宅医療や電子でのお薬手帳、FAX調剤など業務も多岐にわたるなか、名前が似たような薬もあり、多忙の中、調剤過誤を防ぐべき努力も必要になってきます。

調剤におけるリスクの考え方

リスクの考え方としては、リスクの定義として「被害程度の可能性×発生の可能性」という考え方があります。

リスクをいかに排除し、軽減していくかということにおいて、考えなければいけないとき、その考え方をリスクの定義から考えると、式からもわかるように、被害程度の可能性を低減していくか、発生の可能性を低減していくか、どちらかあるいは両方の方向で検討が必要になってきます。

被害程度の可能性を低減していくには、事故の原因となる物質の排除をすればいいのですが、薬剤師が医薬品を扱わないというわけにはいかず、それは現実難しいことでしょう。

そうであれば、発生の可能性を減らしていくしかないのです。

なぜ、調剤過誤が起こるのかといえば、それは薬剤師のヒューマンエラーということになりますので、いかに薬剤師のヒューマンエラーを減らしていくかが、発生の可能性を低減しリスクを減らしていくポイントになります。

薬剤師のヒューマンエラーを減らす対策の難しさ

薬剤師のヒューマンエラーを減らすには、徹底した研修や、職場環境の見直し、個人個人の注意といった点も大切ですが、病院の薬局の場合は、採用品目を絞るというもとも一つの方法になってきますし、間違いやすい名前の医薬品や形や色が似ている医薬品を採用しないという方法も考えられます。

ところが、保険薬局とあれば、同一一般名の医薬品であっても規格違いや剤型違いのものを取り扱ったり、ジェネリック医薬品を多種揃える必要がでてくるため、取り扱う医薬品の数を少なくするといってもそう簡単にできないのも事実です。

ハインリッヒの法則でリスクを考える

物事の法則の中で、『ハインリッヒの法則』という有名な法則があります。

これは、1件の重大な事故の裏には、軽度な事故が29件潜んでいて、さらにその背景には大事には至らなかったものの、ヒヤリ・ハット事例が300件にも及んでいるというものです。

つまり、ヒヤリ・ハットの事件でその対応をしっかりして、情報を共有し、情報の収集と分析を行って対策を立てておくことが重要で、そうすることによってその後に発生するかもしれない重大事故を防止できるというものです。

そこで重要になってくるのがインシデント報告なのです。

ハインリッヒの法則を考えたインシデント報告

患者に障害が及んだわけではないが、ミスによりヒヤリ・ハットした経験、つまりインシデントをきちんと報告することで、それを分析し、同じミスを繰り返さないための対策を検討し、類似するインシデントの再発防止に努め、医療事故や医療過誤の発生を未然に防止することが大切になってきます。

ヒヤリ・ハット事象があったら、なぜそのようなことが起こってしまったのか、どのように対処したのか、それに対してどう対策をしたのか、きちんと分析をすることが大切になってきます。

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