従来の意味を間違って覚えている人が多い言葉について、いくつかご紹介していきます。
気が置けない人は、油断ならない人?
「その人は気が置けない人ですね。」という場合、「気が置けない」はどのような意味なのかという世論調査の結果、次のような結果になりました。
A.相手に気配りや遠慮をしなくてよいこと・・・・・・・・・・・・・・・42.4%
B.相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこと・・・・・・・・・48.2%
AとBは、真逆の意味になりますが、従来の意味としてはAが正しいことになります。
しかし、世論調査の結果では、それとは全く逆の意味のBと回答した人が半数近くと一番多くなっています。
日本の文豪、森鴎外の『青年』という小説の一節に、「気が置ける」と「気が置けない」という言葉がでてきて対比されています。
あのお雪さんは度々この部屋へ来た。いくら親しくしても、”気が置かれて”、帰ったあとでほっと息をつく。あの奥さんは始めて顔を見た時から”気が置けない”。この部屋へでもずっと這入って来て、どんなにか自然らしく振舞うだろう。何を話そうかと気苦労をするような事はあるまい。
気が置ける相手だと、あとでほっと息をつく
気が置けない相手だと、気苦労するようなことはない
つまり、従来の正しい意味どおりに使われていることがわかります。
ちなみに、気が置けないの「気」は、遠慮や気遣いという意味ですので、それが「置けない」というのであるから、遠慮しようと思っていてもつい遠慮できないということになり、親しい遠慮がいらない気を遣わなくていい間柄ということになるのです。
そろそろ起業する潮時?
潮時というと、スポーツ選手の引退などをイメージする人も多いと思います。
もちろん、こうした引き際にも使われるのですが、「そろそろ起業する潮時だな」というような場合にも使われます。
「潮時」とは、潮の満ち引きを表していて、物事をするのにちょうど良い時という意味を持っています。
従って、物事の引き際だけでなく、物事の始まりにも使われるのです。
天地無用、間違えると大変なことに
「天地無用」は、よく宅配のダンボールなどに記載されています。
こう書いてあると、上下逆さにしちゃいけない荷物なんだなと大抵の人は正確に解釈しますが、中には、「天地無用」の「無用」を、心配無用だと勘違いして、「天地」つまり「上下」は気にしなくても大丈夫だよと解釈してしまう人がいるのです。
「無用」という言葉には、もちろん「必要ない」という意味があるのですが、「〇〇無用」となった場合には、「~してはいけない」という意味も出てきます。
例えば、「口外無用」といった場合は、口外してはいけないということになるのです。