薬剤師は、調剤を行う技術者である前に、患者から必要な事項をうまく聞き出すことが大切です。
したがって、知識がある、技術があるというだけではなく、基本的なコミュニケーション能力も必要とされます。
こんな時はどうする? 薬を飲んでいない患者が、先生に言わないで!
薬局で患者さんに薬を渡すとき、最近どうですかなどという話になり、最近体調はどうですかなどと聞いてみると、まあまあ、変わらないという返事なので、それでは、お薬を飲まれているから安定しているんですねと言うと、なんだか様子がおかしい。
よくよく聞いてみると、薬は最初のうちは飲んでいたが、薬をなくしてしまい、しばらく薬を飲んでいなかったことが判明。
患者は、先生が怖くてとても言えなかったということで、先生には内緒にしておいてほしいと懇願。
薬剤師の仕事として、患者にきちんとした服薬指導をして、コンプライアンスを守ってもらうことも重要です。
ケース1
えええ、い~けないんだ いけないんだぁ~ 先生に言いつけちゃうぞぉ~ 言いつけてほしくなかったら、うちの薬局でこの風邪薬も買ってちょ~だい!
まさか、こんな竹本ピアノみたいな人はいないでしょうw
これでは、先生に言いつけてほしくないという患者の気持ちを全く無視してしまっています。
ケース2
ほいほい、わかりましたよぉ~ 先生には言いませんよ。2人だけのヒ・ミ・ツ! ねっ!
おいおい、患者から長い間薬飲んでいなかったにもかかわらず、先生に報告しないんかーーーぃ!
えええ、どっちもダメなんですかぁ~? それじゃいったい私はどうしたらいいの? リンダ困っちゃう~!
こういった場合は、なぜ医者に怖くて言わなかったのに、薬剤師に薬を飲んでいなかったことを白状したのでしょうか。
患者の気持ちになって考えてみる
患者の気持ちになって考えてみましょう。
薬剤師にも言わなくてもよかったのですから。
それは、薬剤師に言うことによって、自分が薬を飲まなかったことに対する不安や後ろめたさをどうにかしてもらいたいという期待があるのです。
「大切なことをよく話してくださいました」
この一言は、今後も、隠し事なく話してくれる、話しやすい薬剤師を演出するという意味でも効果的な言葉です。
もし患者が話しにくいことを話してくれたときは、この言葉をまず冒頭に添えることは、かなり意味があることでしょう。
さて、患者は本当にお医者さんに薬を飲んでいなかったことを黙ってて欲しいのでしょうか?
本当は、薬を長いこと飲んでいなかったんだけど、大丈夫なのか心配。でも怒られるから聞けないし確認できないというのが本音であることが多いのです。
直接、希望を患者さんに聞いてしまうのが一番です。
「それでは、どうなるのが一番良いとお考えですか?」と聞いてしまうのです。