最近では、憲法改正の議論もいろいろとありますが、日本国憲法の優れた所と言えば、憲法第9条とともに、憲法第25条ではないでしょうか。
戦争憲法ではないのかといった意見などもいろいろあり、第9条がクローズアップされていますが、同じぐらい重要なものとなっているのが、憲法第25条なのです。
つまり、すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとされています。
しかし、そうはいっても、個人の努力だけではどうにもならないリスクもいろいろあります。そんなときに、国民同士が相互い連携して支え合う共助の精神、そして国もまた必要な扶助を行う公助のシステムにより、国民の生存権を保障していくというものが社会保障の基本的な概念になっています。
公助と共助
公助は、国や地方公共団体などの公的機関によって必要な生活保障を行っていくことで、共助とは国民が相互に連帯して支え合うことによって暗転した生活を保障していくものです。
増え続けている社会保障費
社会保険費用統計によると、2000年では、社会保障給付費の合計が約78兆円だったのが、2016年には約118兆円に跳ね上がっています。
この間、国民所得額は、2000年で約375兆円、2016年で約386兆円とあまり変わっていません。
内訳をみてみると、介護を含めた社会福祉が2000年で約11兆円、2000年で約24兆円、医療保険が2000年で約26兆円、2000年で約38兆円、年金保険が2000年で約41兆円、2000年で約57兆円となっています。
国が言う、セーフティネットとは
よくセーフティネットという言葉が聞かれますが、セーフティーネットとは、生活困窮の原因となっている失業や疾病、老齢などに対して、生活の安定を図るために社会の安全装置と言うことができます。
そして、社会保障は、国民一人一人が十分に能力を発揮して、自立して尊厳をもって生きられるようにするための支援をするセーフティーネットとしての働きがあると言えるでしょう。
社会保障がもつセーフティーネット以外の役割
社会保障制度がもつ役割は、その一番大きなところは、やはりセーフティネットとしての役割になるかと思います。
それ以外にも、個人や世帯間で所得を移転させる所得再分配により、低所得者の生活の安定を図っていくという側面があります。
また個人の力だけではどうしようもできない失業や老齢といったことに対して、社会全体で支えていき、影響を極力小さくしていくリスク分散という考えがあります。そして所得格差を是正して生活の不安を消すことによって、社会や経済の安定を保つといった役割もあります。
社会の安定と経済の安定が図られることにより、成長していくことができます。