メタボを便移植で治療 | 美容トピックス

『便移植(便微生物移植)』は、便の微生物である腸内細菌を移植することで、現代では偽膜性大腸炎の治療に広く用いられています。

偽膜性大腸炎とは

まずは、治療法として『便移植(便微生物移植)』が用いられる『偽膜性大腸炎』とはどんな病気かというと、腸内フローラの多様性が低下することで起こってくる病気です。

私達の腸の中には、多様な腸内細菌が存在していて、いわばこれらの腸内細菌がバランスをとっているのですが、ある特定の種類の腸内細菌だけが増えてしまい、バランスが取れなくなりと体に不調をきたしてしまったりします。

『偽膜性大腸炎』は、幸いなことに日本ではまだあまり聞かれない病気ですが、欧米では患者数が増加していて、米国では年間1万人を超える死者も出ています。

『偽膜性大腸炎』では、腸内でクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)という腸内細菌だけが異常繁殖してしまい、それ以外の腸内細菌が極端に少なくなってしまいます。

その結果、下痢・吐き気・全身倦怠感などの症状が出てきて、悪化すれば死んでしまうこともあります。

クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)という腸内細菌は、健常な人でも腸内にいたりして、決して病原菌というわけではありませんが、この腸内細菌だけ増えてしまうと、腸内細菌のバランスがくずれ病気になってしまいます。

クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は抗生物質が効かない耐性菌になりやすい性質があるため、抗生物質を使いすぎたりするのが、原因ではないかとも言われています。

便移植(便微生物移植)

便移植は、あらかじめ検査を受けて、便の中に細菌などが含まれていないことを充分に検査された提供者の便を採取し、それを生理食塩水に溶かして、固形物をろ過すると、茶色の液体が得られます。

これを患者の鼻からチューブを使って腸に入れたり、肛門から浣腸によって腸に入れたり、大腸内視鏡を使って腸に入れたりします。

大腸内視鏡の場合、肛門から入れて、大腸の一番上流にあたる部分まで持って行き、そこで提供者から得た茶色の液体を流し込みます。

それから腸内細菌の移植が行われます。

メタボを治療

『便移植(便微生物移植)』は、偽膜性大腸炎の治療で用いられていますが、オランダではメタボリックシンドロームの患者に対して便移植が行われています。

メタボ患者に、やせた人の便を使って便移植を行い、6週間後にインスリン感受性を測定した結果、自分の便を移植した人はまったく変化がなかったのに対し、やせた人の便を移植された人は、低下したインスリン感受性の回復が見られました。

この研究では、便移植が将来的に、メタボや糖尿病の予防・治療に有用である可能性を示したものでした、

小規模ではあるものの、このような研究が行われています。

実際のところ、それじゃメタボや糖尿病の改善に、便移植をするかということになると、さすがに困惑してしまう人がほとんどではないかと思います。

そこまでするなら、まず生活習慣の改善をがんばるよということになるのかと思います。
ただ1つの可能性としては興味ある研究結果です。

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