ヒトの神経伝達物質は数百以上あると推測されていて、そのうち未確認のものもありますが 60種類ほどについては、その役割もわかっています。
神経伝達物質と言われる物質は、単純な動物ではわずかな種類のものしかありません。
神経伝達物質の働き
『神経伝達物質』は、神経細胞と神経細胞の間の情報の受け渡しにおいて、なくてはならないものになっています。
『神経伝達物質』には多くの種類があって、接続する神経細胞の活動を刺激したり、逆に抑制したりと、幅広いバリエーションがあります。
『神経伝達物質』は、その働きとして脳内神経細胞に影響をあたえ、ひいては人間の心にも影響をあたえています。
人間の精神状態は、神経伝達物質の働きが正常なとき、正常な状態を保ちます。
神経伝達物質と心
精神状態は神経伝達物質の働きが正常なとき、正常な状態を保ちます。
脳において、なんらかの原因で、神経伝達物質の量が変化したり、機能しなかったりと、働きが乱れたりすることがあります。
そうなると、脳内神経細胞が影響を受けて、こころの活性が奪われうつ症状が表れたり、過剰な不安や興奮が表れたりします。
これだけは押さえておきたい5つの神経伝達物質

神経伝達物質は、数百以上あると言われていますが、多数の神経伝達物質のうち、こころの病気と深く関わっているという点で押さえておきたいものが3つあります。
その5つとは、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミン、アセチルコリンです。
『アドレナリン (エピネフリン)』は、自律神経の中でも交感神経の興奮を高め、血圧を上昇させたり糖の分解を促進したりする働きがあります。
『ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)』は、アドレナリンと共通の働きがあって、特に精神作用に関しては、ノルアドレナリンが深く関わっています。
ノルアドレナリンのノルは、アドレナリンからメチレン基を1個を除去したという意味になります。
人間は危険を感じると交感神経系でのノルアドレナリンの放出量が増え、不安や恐怖の精神状態をつくり、また意欲にも深い関連があります。
『セロトニン』は、不足すると、抑うつ気分や不安が強くなる神経伝達物質です。
その結果、心や食欲、睡眠の障害が出やすくなります。
『ドーパミン』は、多くの働きをもつ神経伝達物質で、特に運動に関して重要な働きを持っています。
ドーパミンが欠乏すると筋肉を動かしにく くなるパーキンソン病になり、多すぎると幻覚が現れます。
また、快楽気分や新しいことに取り組む動機づけに深く関与しています。
『アセチルコリン』は、 最初に発見された神経伝達物質で、知的な活動、記憶に関する働きがあり、 脳以外にも心臓や筋肉の神経にも存在します。
それ以外の知っておきたい神経伝達物質
その他にも多くの種類の神経伝達物質があります。
『GABA(ギャバ)』は、抑制性の伝達物質で、不安やけいれんに関する働きがあります。
またアルコールはGABAの作用に働いて不安な感情が軽減されます。ノルアドレナリンの働きを抑えます。
『グルタミン酸』は、情報伝達の主役とも言われる化学伝達物質で、脳神経細胞間での情報伝達の半分近くカヾ、このグルタミン酸に関わるとされていて、記憶などに関わっています。