かゆみはどうやって伝わるのか | 健康トピックス

犬や猫、鳥などが、足で体を掻いて、ダニなどの害虫を取り除いているのを見たことがあると思いますが、もともとかゆみは、異物を物理的に取り除くために必要な重要な生体防御機能の一つではないかと言われています。

昔は弱い痛みと考えられていたかゆみ

かゆみというと、皮膚の感覚受容体が刺激され、それが引き金となって生じる感覚のように思われますが、そればかりでなく、脳などの中枢神経系で発生した刺激が原因となって発生しているものもあり、つまり皮膚に刺激があったからかゆいと感じる場合の他に、脳がかゆいと感じたから皮膚が痒くなるという場合もあるのです。

従って、皮膚には異常がないものの、心理的なストレスを受けると激しいかゆみが出てくるという人もいますし、実際にマウスでも、ストレスや不安にさらされることで、かゆみが憎悪することがわかっていますが、その具体的なメカニズムはまだわかっていません

19世紀から20世紀にかけては、かゆみは弱い痛みではないかと考えられていた時代がありました。

かゆい所をつねるとかゆみが抑えられることから、かゆみと痛みは関係しているのではないかということでしたが、痛みを抑えるモルヒネを投与しても、かゆみは治まるどころか逆にかゆみが増したこと、かゆみはかきむしると快感だけど、痛みを軽減しても快感が得られないことから、かゆみと痛みは別の感覚であるとされました。

実際に、かゆみは主なものだけでも、アトピー性皮膚炎や乾燥肌といった皮膚異常に伴うかゆみの他、腎臓や肝臓などの内臓疾患に伴う全身性のかゆみや、末梢や中枢障害によって起こってくるかゆみ、精神疾患にともなうかゆみなどがあり、そのメカニズムも異なります。

かゆみの伝達経路

皮膚の刺激によってかゆみが起こる場合、刺激が表皮や真皮に存在する『かゆみ感覚需要器』に伝えられ、そこで生体電気信号が発生します。

これが一次感覚神経を興奮させ、脊髄後根神経節を経て脊髄に入り、脊髄後角で二次感覚神経に乗り換えられ、視床を経て滞納皮質に到達し、一時体性感覚野に投影されてかゆみの感覚が生じると言われています。

かゆみを伝える神経

かゆみを伝える神経のほとんどがC繊維の自由神経終末にあると考えられていますが、実はこれは多種多様であり、ヒスタミン系非ヒスタミン系2つのタイプに大きく分類されます。

ヒスタミン系の場合は、ヒスタミン受容体H1やH4,カプサイシン受容体のTRPV-1を介します。

非ヒスタミン系の場合は、温度感覚性受容体のTRPA1と結びついて一次感覚神経を興奮させます。

さらに脊髄後根神経節にある感覚神経のうち、NP1、NP2、NP3の3種類の新鋭がかゆみを誘導する受容体を持っていることがわかっています。

NP1神経は、皮膚の表皮層の最も表面近くまで伸びていた、かゆいみゃ痛み、温度、機械刺激など異なる種類の刺激を伝達できます。

NP2神経は、かゆみの伝達に特化していて、ヒスタミン受容体などが発現しています。

NP3神経は、ヒスタミンやセロトニンといった肥満細胞が放出するかゆみ物質の受容体を持っていて、かゆみを誘導するインターロイキン31の受容体が選択的に強く発現することが知られています。

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