健康診断で血液検査とともに行われるのが尿検査です。
尿検査はおしっこをコップにいれるだけなので、注射針をチックンされる血液検査とちがい、検査を受ける側の苦痛度が少ない検査です。その中で試験紙などで簡単に見ただけですぐわかる検査項目の一つに尿pHがあります。
尿pHの測定意義
尿pHといえば、ずばり尿のpH(水素イオン濃度)になります。
尿のpH(水素イオン濃度)を測って、尿の酸性・アルカリ性の度合いを検査するのです。
そんなもの測って何になるんだろうかということですが、腎機能の状態を知ることができます。
正常な尿pH
尿pHの正常値は、基準値としてはpH4.5~7.5、だいたい正常な尿はpH6.5ぐらいで弱酸性と言われています。
しかし、食べ物の影響などで大きく変化してきます。
肉類などの動物性脂肪をたくさん食べると尿は酸性側に傾き、野菜や海藻といったものを多く摂取するとアルカリ性側に傾きます。
また、激しい運動をすると体内で乳酸が発生するので酸性側に傾きますし、寝ている時は二酸化炭素が体内に蓄積しやすいため、やはり酸性側に傾きやすい傾向があります。
異常な尿pH
尿のpHはある程度幅があります。
人間の体は、尿が酸性に傾きすぎないために、緩衝系のメカニズムが働き、細胞レベルの内呼吸で酸性物質の二酸化炭素を放出するなどバランスを保とうちします。
体内では、代謝によって強酸の性質をもった不揮発性の酸が発生したりしますが、通常では腎臓がこれらを排泄しています。
ところが腎機能が低下してくると、これらの酸塩基平衡が損なわれてしまい、異常値がでてしまいます。
尿が酸性側に傾くと、腎結石や尿管結石などができやすくなるので注意が必要です。
酸性に傾いたものは尿は『酸性尿』、その状態を『アシドーシス』といい、フェニルケトン尿症やアルカプトン尿症、慢性腎不全、糖尿病などによって起こってきます。
アルカリ性に傾いたものは尿は『アルカリ尿』、その状態を『アルカローシス』といい、原発性アルドステロン症、低カリウム血症、腎盂腎炎、膀胱炎などによって起こってきます。
おしっこは健康の指標
別に試験紙がなくてもすぐわかるのに、尿のおしっこ診断があります。
鼻をさすような刺激臭がするおしっこならば、尿道炎や膀胱炎、腎盂腎炎などの尿路炎症系の疾患が疑われます。
甘酸っぱいにおいの尿であれば、糖尿病が疑われます。
おしっこをしたとき、無色の泡がたくさん出てきてなかなか消えない場合は、腎臓病によって起こるタンパク尿の可能性があります。
尿が濁っていれば、膀胱炎や腎盂腎炎、前立腺炎、尿道炎といった感染症の疑いもあります。