新型コロナウイルスと嗅覚・味覚障害と補中益気湯 | 健康トピックス

新型コロナウイルス感染者に関して、嗅覚や味覚の障害が起こったという報告が相次いでいます。

イギリスの耳鼻咽喉科学会は、中国や韓国、イタリアなどで新型コロナウイルス感染者の多くが嗅覚障害を訴えていて、ドイツでは新型コロナウイルス感染者の3人に2人は、嗅覚症状を訴えていたと指摘しています。

新型コロナウイルスに感染すると嗅覚・味覚障害が起こるのか

日本でも、クルーズ船で感染した人の話によると、一時期嗅覚がおかしくなり、料理のにおいが気持ち悪かったという訴えをしていました。

これ以外にも、日本でも同じように新型コロナ感染者から嗅覚や味覚の異常が10日ほど続いたなどの報告があります。

また、最近では、発熱などの症状がないが、ワインや珈琲の匂いを感じないということでPCR検査を受けた阪神タイガースの藤波選手も、新型コロナウイルスに感染していたことがわかりました。

他の2選手も、味噌汁の味を感じないなどの症状がでていて、検査してみたら陽性でした。

これについては、
「野球選手だから無症状でも検査してもらえたのか」
「一般の下々の者たちは、苦しい症状があっても検査してもらえず病院をたらいまわしされた」
と、その不公平さに非難が殺到しているようです。

影響力が大きいというのはわかりますが、有名な芸能人やスポーツ選手、政治家などが発熱もないのにPCR検査を受けられるとなると、不公平感が国中に蔓延しますし、症状がない人軽症の人が、医療機関に押し寄せかねないことになります。

なるべく、軽症であれば自宅待機するべきであると大阪府も言っていますが、なぜ無症状で検査した?と疑問も残るところです。

日本耳鼻咽喉科学会の対応

日本耳鼻咽喉科学会は、「海外で味覚や嗅覚がきかなくなった感染者がいるという報告があることは承知している。日本ではまだ症例が少ないが、現在、詳しく調べている」としています。

ただ、一方で、「味覚や嗅覚に異常があるからといって、すぐさま、感染の有無を調べる検査をする必要はないと考えている。まずは自宅で経過を見て、必要に応じて、国や自治体が設置した電話相談の窓口などに連絡し指示を仰ぐことが大切と思う」としています。

漢方の補中益気湯

嗅覚や味覚が少しおかしいが、発熱はない。
でも、新型コロナウイルスに感染しているかもしれない。

自宅待機でも不安で、何か処置はできないものかということですが、漢方薬には補中益気湯という方剤があります。
『補中益気湯』は、体力が低下したときに用いるもので、免疫力をアップすることが期待されています。

食欲不振、夏痩せ、病後の体力増強、寝汗、貧血に効果があります。

漢方では、体力が落ち、気の働きが弱ってくると、消化機能が落ちて嗅覚や味覚にも影響がでてくるので、そうした場合、補気薬とされている補中益気湯が良いとされています。

また補中益気湯は、インフルエンザの感染にも有用であるとされています。
補中益気湯が、腸管免疫系を活性化させ、次いで共通粘膜免疫機構を介して鼻咽頭関連リンパ組織や気管支関連リンパ組織、泌尿生殖器関連リンパ組織が活性化されます。

そしてこれらの粘膜局所でIgA 産生などが増強されることで、呼吸器感染症や内因性感染症などの予防・治療効果が期待されています。

あくまでも、補気ということで、免疫力をつけ抵抗力を増すということであり、抗ウイルス効果が期待できるものではありません。
また、虚証の人に適した方剤で、実証の人には適していません。

ただ、一つの選択肢として頭に入れておいても良いかもしれません。

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